2009年7月26日

そんなに急いで大丈夫? 地産外商公社 共産緑心が予算削除要求 7月県議会
7月17日に閉会した7月県議会で県議団「日本共産党と緑心会」は執行部が提案した「平成21年度高知県一般会計補正予算」のうち、「アンテナショップ推進」のために新たな一般財団法人「地産外商公社(仮称)」を設立する経費約8190万円に賛同できないことから、この全額を削除する修正案を提出しました。中根佐知議員が提案理由を説明、自民党の中西哲議員が反対討論を行い採決の結果、賛成少数で否決(賛成は「日本共産党と緑心会」の5だけ)されました。修正案は否決されたものの、尾崎正直知事主導の拙速な銀座へのアンテナショップ設置には不透明感がぬぐえず、批判を持つ県職員も少なくありません。

問題の「アンテナショップ関連予算」は一般財団の立ち上げ、首都圏アンテナショップの設立をめざすための活動経費ですが、今議会の議論を通じてもその全体構想は明らかになっておらず、結局NHKの大河ドラマ「龍馬伝」に間にあわせるための見切り発車としかいえないものです。
中根議員の提案理由説明の要旨   
                                                                                
中根佐知議員
この修正案はアンテナショップ推進事業費の8190万円を全額削除修正するもの。県経済の土台である農林水産業振興に総力を尽くし、地域内での再投資を徹底する仕組み、地域循環型経済の構築をめざし、食料品、食品加工業の発展を図ることが重要であることは言うまでもなく、そのための製品作り、販路の開拓、販売の拡大に県が積極的に取り組むことは県民の生活を支え、地域を活性化するために重要な施策であると考える。

しかし、アンテナショップを地産外商の切り札であるかのように言うが、他県の実例も含め、販路開拓、販売の拡大機能を果たしうるのか根本の検討が必要。今後どれだけの県の持ち出しが必要になるのか、参加構成はどうなるのか、規模はどうなるのか、どこにつくるのか、場所は買うのか、借りるのか。具体的な中身は何一つ決まっておらず、その動向によって今後の予算計画は大きく変わってくる。

理想を掲げることは大事だが、これまでの説明は、必要性や期待を一般的に語っているだけ。県民の税金を投入する事業であり、基本的な全体構想も描けないまま、見通しのきかない状況で、無責任に予算を執行する事は許されない。PDCAのPがあまりにも不十分だ。

内容を詰め、将来負担も一定明らかにし、今後県民負担が耐えられるのかどうかの材料があってこそ判断ができる。活動開始を焦るあまり、今後の県政運営に財政面で影を落とすことがないようにするためにも予算を認めることはできない。

「官民協同型」といいながら、県だけが出資金を出してスタートするのはあまりにも異常。なぜ単独スタートなのか。新たに立ち上げる法人を構成する各団体の合意形成が基本であり、県のみの財団の設立・スタートは思いがどれだけ熱くても計画が詰まっていない証明であり、一方的な見切り発車はすべきでない。

また今回の新しい一般財団法人の設立にあわせ「県商品計画機構」を一方的に解散することは容認できない。このまま一般財団法人が設立されれば、財団の独自性を認めなければならず、県議会のチェック機能が届きにくくなる。計画が不透明な上に、多額の県民の税金投入が予想されるアンテナショップ推進事業を、このまま第三者機関に白紙委任することはできない。

これまでにも各自治体、業界、企業は、それぞれのルートで連携しあいながら販路拡大、商品開発など地道な努力を積み重ねてきたが、そんなに簡単なものでないことを承知しているからこそ、県以外に「一般財団法人」に出資してない現実を重く受けとめる必要がある。スピード感や「龍馬伝」とのかねあいよりも、もう一度立ち止まって高知の産業振興を盛り上げるために幅広い団体と協議を広げながら、県民や業界団体との合意と納得を築くことこそ最優先すべきだ。(2009年7月26日 高知民報)