高知県教委は6月24日、県立高校の現行の授業料減免制度を当面、今後3年間拡大する方針を明らかにしました。
主な内容は、これまで市町村民税の所得割がかからない世帯のうち、子どもが1人だけ(2人親、1人親を問わず)の世帯は半額免除にならず対象からはずされていた運用を改め、子どもの数にかかわらず半額免除の対象になるようにするもの。今年度の対象者から4月にさかのぼって実施し、全日制であれば年額118800円の授業料が59400円に減額されます。
県高等学校課によると、この運用改善により新たに半額免除を受けられることになる生徒数と減免総額の見込みは198人、1100万円。「授業料減免制度拡大などに活用する国の交付金が追い風になった」(同課担当者)。
今回の運用改善は、来年度にむけて県教委がとりくんでいる授業料減免や高校奨学金制度の見直しの具体化。端緒的ではあるものの、経済的に困難な家庭の生徒の学びを保障していくための努力のあらわれとして注目されます。同時に県教委幹部は「ひとまず3年。3年後にもう一度議論しなければならない。こういう制度は始めるとやめれるものではないが、そういう財政的なタガがはめられている」と話すように、手放しで喜べるものではなく、経済的に困難な家庭の生徒を支える制度の充実・拡大にむけた県民世論が必要となっています。
中沢卓史・県教育長は高知民報の取材に対し「昨今の経済状況を見る中で、経済的な理由で高校にいけない生徒を作ってはならないという思いだ。若干の改善ではあるが、少しでも喜んでもらえたらと思う」とコメントしました。
吉岡太史・高知高教組書記長の話 経済的に困難な生徒を高校教育に少しでも包摂していこうという努力の第一歩であると評価できる。さらに、これからの取り組みにつなげていってほしい。(2009年6月24日 高知民報) |