2009年6月14日

「仕事保障」1億1千万円 同和随契 高知市が4月契約分を公表 23年度全廃に向け総量は減少
高知市労働事業協会(高知市朝倉己) 解同市協と一体化している
高知市は5月20日、入札によらず特定一社を対象にした特命随意契約による契約内容を公表しました(21年4月契約分)。今回の公表は岡崎誠也市長が同和関係団体への「仕事保障」など法令に基づかない随意契約を23年度までに廃止する方針を打ち出したことの一環ですが、この中では市が導入した機器やソフトウエアのメーカーによるメンテナンスなど合理的な理由があるがつくものと同時に、市施設の清掃や警備業務などを「同和団体」であることを理由に随意契約する「仕事保障」が今年度も1億円以上あることが明らかになりました。

高知市が「同和行政」として同和関係団体への「仕事保障」などで随意契約をしている契約を集計すると約1億1692万円になります(高知民報調べ)。

団体別にみると高知市労働事業協会(高知市朝倉己771−9)が約7875万円、県雇用促進事業協会(同東石立町53−4)が3059万円、高知雇用開発センター(同長浜4450−31)が316万円、高知中高
高知市労働事業協会(解放同盟系列) 7875万円
高知県雇用促進事業協会(自由同和会系列) 3059万円
高知雇用開発センター(全国人権連系列) 316万円
高知中高年事業団(全日本建設交運一般
労組系列)
441万円
年事業団(同大原町109−201)が441万円。(表参照)

ただし、この金額は4月に契約したものだけの集計であり、全容ではありません。また昨年までみどり課が発注していた公園関係の清掃は今年度から、都市整備公社に他の管理業務とセットで委託されたために、「仕事保障」は継続されているものの、公社と団体間の契約になるという理由で公表されていません。大原町の総合運動場関連の契約もスポーツ振興事業団を通じて行なわれているために実態が見えないという問題点もありますが、20年度には当初予算ベースで約3億円もの契約額があったことを考えると、かなり削減されていることが読み取れます。市みどり課によると「外部に委託しても23年度に『仕事保障』を撤廃する方針に変りはない。市の方針とずれないようにきちんとやっていく」としています。

裁判所に違法性を指摘された随意契約が、1億円以上も残存しているという事実は市民の納得が得られるものではなく、早期の解消が求められます。

残された課題は山積

「同和随契」撤廃にむけた動きは、部落解放同盟系列の高知市労働事業協会に高知市が委託した潮江市民図書館の清掃業務委託が入札によらない特命随契のために高額化したとして損害賠償を岡崎市長に求めた住民訴訟で、高知地裁が契約の違法性を指摘したことを受けて20年7月1日、違法状態を3年以内に解消することを条件に和解が成立したことで一気に動き出しました。しかし、残された課題も少なくありません。

「市民会館」デイサービス 一般施策の「宅老所」事業と内容的には大差はなく、比較的元気な高齢者が「市民会館」に出向いて、体操をしたり歌をうたうなどのサービスを市の事業として行なうもの(同和・人権啓発課所管)。運営を解同系の高知市労働事業協会に随契で委託している。21年度の契約額は2640万円。

しかし「市民会館」と隣接して設置されている老人福祉センターでは同じ高知市労働事業協会が公共施設利用型の宅老所事業を7カ所で約4000万円分請けており(元気いきがい課所管、一般施策であるため今回の仕事保障にカウントしていない)、地域的な重複、双方の関係が分かりにくくなっているが、市としては「仕事保障」の範疇には含まれないという判断で23年度以降も存続させる方針。

環境ゴミ美化啓発事業 美化を啓発するゼッケンをつけて中心市街地、主要幹線道路の道ぶちのゴミを回収する事業(環境政策課所管)。15、16年度に国の緊急雇用対策として始まったが、国の補助が切れた後も市単で取り組まれ、今年度も3団体に随契で委託されている(1団体は法で認められた障害者団体、あとの2団体は「仕事保障」)。市環境政策課では「美化啓発という目的は達成されたので、見直しを検討している」と事業そのものの廃止を検討。

春野地区一般ゴミ収集 春野地区の一般ゴミ収集を「株式会社春野清掃」に随契3838万円で委託。「春野清掃」は平成元年に旧春野町が覚書によって団体補助金廃止の代替措置としてゴミ収集委託業務を請けることを強制させられていた「部落解放団体連合会」を法人化して、名称を変えただけの会社。覚書は18年6月に解消されたにもかかわらず、覚書と実質的に同じ団体に随意契約を続けている。市環境部は「合併時の条件なので5年間は続ける」としている。(2009年6月14日 高知民報)