2009年6月7日

コラム「南炎」 地元紙「桂浜問題」の違和感
最近、連続して地元紙に「桂浜問題」の記事が掲載されたが、この記事には少し違和感を感じている▼この問題の背景にはかつて県政・高知市政に食い込んでいた故H氏が経営していた「土佐闘犬センター」と他の土産物店との間の積年のトラブルがある。H氏はソフトボールの影響力をテコに県庁で幹部に訓示、県幹部の念書で四国銀行に無担保で9億5000万円融資させ、国体のソフトボール会場がH氏の山林・・・。行政を歪めた事例は枚挙にいとまがないが、多くは前知事の強いイニシアティブで白日の下にさらされ解決・正常化した。H氏は2004年に死去。土佐闘犬センターは経営破たんした。現在は息子が再建中の同センターを管理する会社社長に就任している▼この息子。なかなかやり手で、よさこい踊りのNPOを展開したり、航空会社とタイアップしてツアーを呼んだかと思えば、05年には市が主催する龍馬像でのイベントに車で突っ込んで逮捕されるなど「武闘派」でもある。最近では同センターが設置した遊歩道に「客を独り占めするもの」と周囲の土産店から怒りの声があがったことは記憶に新しい▼取材して感じたのは、同センターと周囲土産店の間には修復不可能なほど深い感情的なこじれがあること。また過去の経緯から行政が便宜をはかっているように周囲にとられてもしかたがないのかもしれないが、現在の高知市が何でも闘犬センターのいいなりになっているという印象は持っていない。観光客が減り「地盤沈下」の著しい桂浜で、土産物店同士がいがみあっていては展望はないし、ひいては県民利益にもつながらない。地元紙には過去の行き違いを乗り超えひとつになれるような記事こそ求められると思う。やるべきことがもっとありはしないだろうか。(ひ)(2009年6月7日 高知民報)