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5月8日、高須ふれあいセンターで開かれた説明会 |
岡崎誠也・高知市長が「財政再建」にむけた地域説明会に取り組んでいます(5月1日から7月29日まで28カ所を予定)。その内容は「危機的な」同市の財政状況を説明して平成22年度から固定資産税増税などの市民負担を求めるためのものですが、今日のような状況に陥った市政の要因には触れぬまま。「このままでは財政再建団体に転落」と市民を恫喝する説明に終始しています。
岡崎市長が説明している財源不足額は4年間で約80億円(22年から25年)。年額にすると20億円程度。市民負担増の内容は@固定資産税増税(12000円〜18000円増額、期限限定)、Aゴミ収集有料化(指定ゴミ袋を1リットル1円程度で販売。一世帯年間1300円の負担、期限なし)など。
これらによる高知市の年間増収額は@固定資産税増税14〜20億円、Aゴミ2億円と試算されています。
■「危機」の要因?
かつてなく市民生活が厳しい中で、市民に年間20億円もの新たな負担増を求めるからには、「財政危機」を招いた要因と責任を市長をはじめとする執行部がきちんと分析して、反省することが不可欠ですが、市長の説明会での認識は、「かるぽーと、清掃工場、競輪場などの時期が重なったことがまずかった」というレベルにとどまり、「有利な起債」を乱発して、野放図に大型事業に飛びついたことへの本質的な反省は見られません。
5月7日、同市長浜で開かれた説明会では、参加者から面前の岡崎市長への批判はほとんど出ず、末端の職員の批判、賃金引き下げ、ゴミ収集業務の民間委託などを求める声などが相次ぎました。報告会に参加したある市民は「今の高知市財政は、大黒柱の父親がギャンブル依存で借金まみれになったような状態。父親のギャンブル漬けを直さないまま、子供の小遣いが高すぎるというような話になってはいけない」と話していました。
■夕張?
岡崎市長の説明は、当初計画していたものよりは随分薄まったとはいえ、「夕張市のような財政再生団体に転落しては大変」という恫喝的なトーンに貫かれています。「三位一体改革」以降、市民には「自治体に金がない」という意識が深く刷り込まれているため、「夕張」を繰り返すことで過去の市政運営の誤りから目をそらせ、増税にも「問答無用」の効果があります。
しかし、かつて石炭の街だった夕張市と高知市とではまったく状況は違い、高知市財政ははるかに「健全」で、堅実に運営すれば破綻することなくやりくりは可能なレベル。今後5年間の「借金払い」はきつくても、10年先には楽になることも明らかであり、事実に基づいた冷静な議論が大切です。
日本共産党市議団・迫哲郎議員の話 執行部が出している試算でさえ、年間20億円程度の不足に過ぎず、『夕張市のように破綻する』というのは不正確。根拠法が失効してからも毎年10億円も投入している同和行政を終結させ、集中している起債返済の時期を、借り換えでずらすなど堅実にやれば、市民負担をこれ以上増やさなくても対応できる。
■98年市長選で植田省三氏が「無駄な事業見直せ」と指摘
200億円かけた競輪場改修、中央公民館のかるぽーとへの移転(40億円)などに象徴される市政の浪費体質は、平成10年10月25日に投票された高知市長選(松尾徹人氏が当選)の争点になりました。同年9月18日、松尾氏の対立候補となった植田省三・高知市議が市長選出馬にあたって本会議で行った質問の一部を紹介します。
植田「大型プロジェクトが財政危機といわれている時期に集中的に行われ、市民生活予算を圧迫している。大型の公共事業はやるが生活関連事業が削減されているために、地元に仕事がこない。予算は使うが地元の不況対策になっていない。これらのプロジェクトには大きな無駄遣いがある。競輪場の改築をなぜ急がなくてはならないのか。600台の無料駐車場に40億円、どうして国体競技に対応するだけの走路の改修にとどめないのか。総合文化プラザに、なぜ中央公民館を上積みしなければならないのか。これも40億円の無駄遣い。清掃工場改築も600トンもの炉の設置ではなく、ゴミ減量計画を持てば炉の規模を拡大する必要はなく70億円の無駄遣い。プロジェクトの全部がダメと言っているのではない。財政危機の中、事業は最小にとどめ、時期をずらせるものはずらし、設計変更もすべきと言っている」(2009年5月17日 高知民報) |