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総合あんしんセンターの完成予想図、3、4階は医師会所有となる |
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現在、県医師会と県医師連盟が入っている建物 |
高知市が高知市民病院跡地に建設中の「総合あんしんセンター」(平成22年に完成)に入る予定の県医師会と表裏一体の関係にある政治団体である県医師連盟が、新しいセンターには入らない方針であることがこのほど分かりました。県医師会が取材に回答したもの。この問題では「公的な施設に政治団体が入るのは不適切」という指摘があがっていました。
同センターは高知市が建設する公的施設で「保健・防災拠点」として保健所、消防局とともに、県医師会、高知市医師会、県歯科医師会、準看護学院、日赤県支部などが入る予定。県医師会は賃貸ではなく区分所有(買い上げ)で入居することになっています。
そこで問題になるのが県医師連盟などの政治団体。同連盟は事務所の所在地も代表者も県医師会と同一で、両者は完全に表裏一体。自民党の各種選挙や岡崎誠也・高知市長を支援する政治活動の拠点となっているのが実態です。市が建設する公的施設に政治団体の入居が許されるのかという指摘に対して岡崎市長は「建物は区分所有、土地は賃貸だが減額措置は行わないことから不適切ではない」という見解でした。
一方で県医師会などが区分所有のために負担する費用の一部を補助金として支出する県(県医師会3000万円、県歯科医師会1500万円)は、2月県議会で「区分所有であっても市民から見れば行政の施設。公益法人と政治団体の活動は峻別されなければならない」とセンターへの連盟の入居について否定的な見解を示しました。
同市総合あんしんセンター建設課は取材に答え「区分所有された場所を医師会側がどのように使うかについて口出しできないという高知市の考えに変りはないが、医師会側の都合で政治団体の入居はしないと聞いている」とコメント。
坂本浩生・県医師会事務局長は「医師連盟は設計から外している。高知市医師会も同じだ。連盟は施設外に賃貸で部屋を借りることになるのではないか」と回答しました。
■あてが外れた県医師会
県医師会内部では「総合あんしんセンター」への入居をめぐり、区分所有に批判的な会員が少なくありません。「あんしんセンターに入ってほしいという話はそもそも高知市側からきた。連盟は大丈夫なのかと心配する声に対して、区分所有にすれば問題ないということだったのでようやくこちらも合意した」(県医師会関係者)という経過があるように、連盟を入居さるために区分所有という手法を選択したにもかかわらず、結局連盟は入ることができないというのでは医師会側にすれば「話が違う」というのが本音。「マンションの一室を連盟の名で借りて別に人を置かなければならないが、これでは大変だ」(県医師会関係者)。
外部に一室を構えたとしても、実質的な政治活動はセンター内で行うことも十分考えられます。また公的な補助金を受けている県医師会のような団体が法で禁じられている政治献金を、「連盟」のような表裏一体のダミー組織を作ることで行っていく手法自体が許されるのかという根本的な問題もあり、今後も県民がしっかり監視していく必要があります。(2009年4月19日) |