2009年4月5日

コラムアンテナ 「WBCとカツオのタタキ」 市民生活よそに高知市議会緩みっぱなし
手数料値上げ案の採決でドタバタ騒ぎが演じられた高知市議会本会議(3月27日)
3月27日の高知市議会3月定例会最終日。破綻寸前の高知市財政の窮状を回避するという名目で、市施設の使用料やサービス提供時の手数料を値上げする条例改定案が採決されたが、値上げに賛成する「自民みらいの会」などの議員が、実施日を7月1日にずらせる「修正案」をめぐって、分けが分からなくなり起立したり座ったりという醜態を演じ、議事が空転する場面があった。

市民負担増が、このように緊張感の欠如した不真面目な場で、適当に決められているのを目の当たりにしてやりきれない思いがした。

実はこの体たらくには伏線があった。本会議で川村貞夫議員(旧鏡村出身)が、市長や副市長、部長に大真面目に「カツオのタタキのおいしい食べ方について」と質問した。旧春野町長で高知市との合併を先頭に立って推し進めた氏原嗣志議員は「合併しても何もよいことはなかった。こんなに高知市の財政状態が悪いという話は聞いていなかった。だまされた」と放言。

3月24日の高知市議会経済文教委員会では10時の開会直後から島崎利幸議員(自民みらいの会)が無断で委員会室を退席し、控室に戻ったまま13時の再開時にも、なお委員会室に入ろうとしないという前代未聞の「珍事」まであった。

その時の状況を少し詳しく説明する。午前中の審議をサボった島崎議員は13時の再開時にもまだ出てこない。これには中沢はま子委員長(新風クラブ)もたまらず、議会事務局の女性職員に島崎議員を呼んでくるよう命じ、女性職員が控室に飛んでいったのだが、ほどなく一人で戻り「先に始めてくれと言ってます・・・」。この後、別の議員が再度、島崎議員を呼びに行き、しぶしぶ島崎議員は委員会室に入った。

島崎議員は審議をエスケープして控室で何をしていたのか。体調でも崩していたのだろうか。そうではない。実はこの時間帯はWBCの決勝戦、日本・韓国戦がテレビで放映されていた。13時の再開時は試合はいよいよ最終盤。どう考えても野球を観ていたとしか思えないし、事実、テレビでWBCの試合を観ていた島崎議員を目撃した議員もいる。

島崎議員に聞くと「テレビのついた控室にはいたが、野球を観ていたわけではない」。では何時間も控室で何をしていたのか。「議員には他人に言えない仕事もある。ノーコメントだ」ではいかにも苦しい。島崎議員がしぶしぶ委員会室に戻った直後に、同会派の今西清議員が、わざわざ委員会室に入室してきて指を立て「3点目が入った」と試合経過を報告にくるオマケまであった。

市民生活の状態は深刻で、賃下げや失業など先の見えない不安がかつてなく広がっている。その中で過去の市政の失政である「箱モノラッシュ」のツケを払わせるのが今回の使用料・手数料の値上げだ。これはまだ序の口で、ゴミ収集有料化、固定資産税増税など、まだまだ市民負担増が控えている。前市長の与党会派に今日の市財政の窮状を招いたその責任の一端の自覚があるのか。残念ながら弛緩し切ったこの様子からは、とてもそうは思えなかった。市民はもっと怒ったほうがいい。(N)(2009年4月5日 高知民報)