2009年4月12日

反貧困シンポに350人 雨宮処凛さんが青年・尾崎知事と対談
尾崎知事と並んで発言する雨宮さん(4月5日)
社会から排除され不安定な生活を強いられている人たちの人権を擁護する「プレカリアート運動」や日本社会の「生きづらさ」、「自己責任」のあり方について考える活動に旺盛に取り組んでいる作家の雨宮処凛さんを招いた「反貧困シンポジウム『イキルチカラ コウチカラ』」が4月5日、高知市のRKCホールを会場に開かれ350人が参加しました。県労働者福祉協議会、高知クレサラ対策協議会、高知市生活と健康を守る会、高知うろこの会の四者で構成する「反貧困キャラバン県実行委員会」の主催。

シンポでは岡林俊司・県労福協会長が開会あいさつ。昨年、東京での「自由と生存のメーデー」の映像が上映され、第一部では育児のために職を辞した主婦、視覚障害者、不登校を経験した大学生と雨宮さんのディスカッション。第二部は尾崎正直・高知県知事と雨宮氏の対談が行われました。

対談の中で尾崎知事は「まじめに働いても収入につながらず生きていけない現状は新自由主義の帰結だが、これはまだしばらく続く。最先端企業による外需主導の景気回復は、外国の労働者と低賃金をたたかい物を売らなければならない。しかし、国民の暮らしがなりたたないようではいけないという矛盾がある」と提起し、「国内で作ったものが国内で売れるような産業をつくり、外国との競争とは違うタイプの経済のあり方を追求しないと隘路は抜けだせない」と強調しました。
 
雨宮さんは、中国に日本人のコールスタッフを派遣して、時給300円以下で使っている派遣会社の実態を報告し、「この競争の先に何があるのか」と問いかけ、「『反貧困』は非正規だけの問題ではない。一部の金持ち以外はみんな等しく生きづらい。生きづらさは多数派であり、社会を変えていけるはずだ」と締めくくりました。

参加者の声 「教育現場で子供のきびしさを実感している。子供に睡眠薬を飲ませて夜働くシングルマザーの話はショックだった」(47歳の女性教員)、「日本はアメリカ型の格差社会を追いかけているように感じる。貧困が一部の人だけの問題ではなく、みんなの問題であることが分かった。富をきちんと再配分できる社会に修正していくべきだ」(24歳男、会社員)。(2009年4月12日 高知民報)