2009年3月22日

「学テ」市町村別データを秘密会で審議 自民ら多数決で強行 共産、県民クは退席 県議会総務委
秘密会に抗議して退席する中根、井上委員(3月12日)
3月12日、尾崎県政の平成21年度予算の目玉「学力向上」策の柱である高知市教委への集中支援策(※1)を審議した県議会総務委員会(西森雅和委員長・公明)は、「全国学力・学習状況調査」の市町村別の結果を知ることが予算審議の前提だと執拗に迫った森田英二委員(自民)の要求に応じて秘密会(※2)を開催。県教委が市町村別の正答率を委員に提示しました。秘密会の開催は自民党らの賛成多数(※3)で強行され、反対した共産緑心、県民クの委員は「教育を秘密の場で論ずるべきではない」と抗議して退席しました。

この日の委員会では、西森委員長が高知市教委への支援策の予算審議に入る直前、「どの程度の情報提供が可能か」と県教委に市町村ごとの調査結果を明らかにすることを求めましたが、中沢卓史・県教育長は「公開の場でデータを明らかにすることはできない」として、市町村名の入っていない資料で説明しました。

しかし、森田委員や植田壮一郎委員(県政会)らはこれに納得せず、「高知市の成績がどのくらい悪いのかが示されないと予算審議はできない」などと強硬に主張。森田委員の「公開しろとはいわない。秘密会にしてはどうか」という提案に従い、西森委員長が秘密会開催の是非を問う採決を行い、賛成多数で秘密会が強行され、傍聴者や取材陣を退席させた密室状態で約1時間15分間にわたり県教委が委員に説明しました。中根佐知委員(共産)、井上自由委員(県民ク)は退席しました。

中根議員は「教育の自主性は守られなければならない。多数決で教育の場に秘密をつくることは絶対にしてはならない。学テに振り回される県教委のやり方に異議はあるが、高知市に支援が必要という大かたの合意はできている。数の暴挙だ」、井上議員は「教育を秘密のベールに包むのはだめだ」と話しました。

秘密会を終えた中沢県教育長は「守秘義務が担保される秘密会であれば『公開』にあたらないと考える。予算審議のために議会の求めに応じて説明責任を果たしたまで」とコメント。県教育委員会や教育委員長の了解をとっているのかとの問いかけには「とっていない。委任された範囲のことだと思っている」と述べました。

※1 高知市の全中学校に非正規職員を約90人配置し、同市内の全中学生に毎日の宿題用ドリルを購入する経費などを計上している。

※2 守秘義務が課せられ、秘密を漏洩すると懲罰対象となる。委員会の出席委員過半数の賛成で開催可能。高知県議会では戦後3回しか開かれていない。18年に企業誘致を折衝中の企業名を伏せるため秘密会が行われが後に解除された。今回は秘密の性格上、解除されることはないと考えられる。

※3 賛成は西森潮三、山本広明、森田英二、中西哲(以上自民)、植田壮一郎(県政会)、清藤真司(南風)。反対は中根佐知(共産緑心)、井上自由(県民ク)、横山浩一(県政会)。中根、井上は秘密会を欠席したが横山は出席。(敬称略)

3月12日夕、秘密会を終えた直後の中沢県教育長と取材陣との一問一答の要旨。

■秘密会に何を出したのか。 

中沢 20年度調査の小中学校の結果に市町村名を入れた資料を提示した。高知市と同様に平均点の低い市町村もあるので、そこにどういう施策を打つのかというような議論があった。学校名は出していないが、高知市内の中学校だけは学校ごとの分布図を見せた。

議会が、高知市が県全体のどのあたりに位置しているのかを予算審議の上で知る必要があると決めれば、拒否する理由はまったくない。議会に予算を理解してもらわなければならないので、市町村別のデータを出すのは適切と判断した。秘密会ならば「公開」ではない。

■内々に報告できないかという話があったか。

中沢 非公式に報告できないかという話が議会側からあったが、それでは守秘義務がかからないし、市町村との信義を損ねるので、どうしてもというなら法的に守秘義務がかかった形でやることが正しいやり方ではないかと判断して議会側に伝えた。

■今後も同様のことをやるのか。

中沢 議会が決めることだ。議案を審議する上で必要と議会が判断して決めれば、執行部は応じていく法的義務がある。学校別に出せないかという話もあったが、法的には出す義務があるのかもしれないが、必要性は薄いし、市町村との信頼関係が壊れるという話をして分かってもらった。

■文科省と協議したのか? 

中沢 していない。

■市町村教委とは?

中沢 地教連会長と高知市教育長には「求めがありそうだ」と言ってある。理解を求めるというようなものではない。議会の求めに応じ淡々とデータを出し説明責任を果たしたまで。あまり大したことではないと思う。(2009年3月22日 高知民報)