2009年3月8日

国保窓口負担減免制度 実績5年間でたった2件 市民のセーフティーネット機能果たさず 高知市
国保一部負担金減免の状況
申請件数 承認件数 却下件数 支給金額
16年 0円
17年 0円
18年 153077円
19年 0円
20年 82532円
国民健康保険の利用者が診療を受けた時に病院の窓口で支払う3割の自己負担分(一部負担金)を経済的に困難を抱える市民を対象に減免する制度があることをご存知でしょうか。

高知市では平成16年度から制度がスタートしていますが、現在まで減免が認められた市民はわずかに2人(表参照)だけ。市民生活が日に日に困難を増す中でのセーフティネットとしてほとんど機能していないことが明らかになりました。高知市保険医療課では来年度にむけて基準緩和や周知の徹底をはかっていきたいとしています。

国保の一部負担金減免は、国保法44条「一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し減免することができる」を根拠に実施されているもの。

高知市の現行基準は、@実収入が基準生活費(※1)の120%以下の世帯であり、A災害による重大な損害を受けたり、失業などで収入が前年度から30%以上減った時とされています。

2月25日、「高知市生活と健康を守る会」と高知市健康福祉部との懇談の場で彼末明会長が「高知市の場合、制度はあるが実質機能していない。全国ではもっと機能しているところもある。他市の事例をもっと研究すべきだ。保険料はなんとか払っても、3割の窓口負担が高くて医者にかかれない人もたくさんいる」と指摘。

下本文男・高知市議は「保険料を払っているのに、窓口の3割負担が怖くて、具合が悪く動けなくなっても腹水で腹がパンパンになるまで我慢していた56歳の女性の相談を受けた。病院に担ぎ込まれ、診断の結果は大腸ガン。常時低所得で生活保護ラインギリギリの人もいる。ここを救う手立てをうたなければ、保険料をはらっても病院にかかれない」と一部負担減免制度の拡大を求めました。

これらの指摘に対し高知市保険医療課は、「周知が足りていないので、国保のしおりに書き込むなどして周知を強めていく。また何が原因で利用できないのかを、他の中核市の状況とあわせて調べている」と回答。来年度にむけて基準を緩和する方向で検討していることを明らかにしました。

高知市保険医療課・中沢良夫課長補佐のコメント 「今は基準生活費の120%以下の収入と、収入の激減の両方をクリアしなければ減免されないが、この基準を緩めていずれか一方だけにすると、対象になる人が増え過ぎて国保会計の負担が重くなり結果的に保険料にはねかえるので、適切な基準がどれくらいなのかを慎重に検討している」

※1 生活保護を決定するための基準となる金額。高知市の3人標準家庭(夫婦と小学生の子ども)の場合、月額20万円。(2009年3月8日 高知民報)