2008年9月28日

いつまで続ける「目的外使用」 解同県連が25年間入居 県立人権啓発センター
解同県連が25年間入居している県立人権啓発センター
県有施設である県立人権啓発センター(本町4丁目1番37号、4、5、6階部分のみ)の4階に、部落解放同盟高知県連合会(野島達雄委員長)、部落解放高知県企業連合会(解放同盟系)という2団体が、1983年の同センター開設以来、今日まで25年間、入居して事務所として使用を続けています。県民共有の財産である県施設を、なぜ特定同和団体に提供し続けなければならないのか。周辺をレポートします。

県立人権啓発センターのエレベーターを4階で降りると、目に飛び込んでくるのが「狭山裁判」や「人権侵害救済法制定」を訴えるポスター。同センターの4階フロアの多くの部分が解同県連と企業連に占められているために運動団体の施設と区別がつかないような状態で、一般県民が奥の視聴覚室に行くのもはばかれるような雰囲気があります。県立施設であるにもかかわらず、なぜこのようなことになるのか。その理由は県行政財産の「目的外使用」。同センターを管理する県人権課が1年ごとに契約を更新して使用を許可していますが、実態的には期限の定めのないエンドレスでの使用を認めています。
 
「真に必要」?

県の行政財産は県が行政上の目的を達成するために所有しているものであり、第一義的に目的の業務のために使用するのが当然ですが、「目的外使用」として例外的に認められるケースが県財産規則で定められています。

その主な内容は、@職員住宅や職員の厚生施設(食堂や売店)、A国や自治体の事業、B水道や電気事業など公益事業(電柱の設置など)、C災害など緊急の対応、D公共的団体の事業の遂行上真にやむを得ないと認めるとき、E職員組合の事務所。安易な使用は戒められています。

では解同県連ら2団体は、どのような理由で「目的外使用」を認められているのか。

県人権課によると「県財産規則31条7項に該当するという考え方で、目的外使用を許可している」という見解。31条7項とは「国又は公共的団体若しくは公共的団体の事務又は事業の遂行上真に必要やむを得ないと認めるとき」(アンダーラインは編集部)。「真に必要」である理由については「長く入居しているので定着しているし・・・」という程度で明確な回答はありませんでした。

高知市内には賃貸事務所はいくらでもあります。民間団体が自らの責任で事務所を構えるのは当たり前であり、現に同じ部落解放同盟でも、高知市連絡協議会は高知市朝倉己に「自前」の事務所を持っています。県民共有の貴重な行政財産を、解同県連という特定団体に県が提供しなければならない必要性は見えてきません。

県管財課に「真に必要やむを得ない」具体的な事例を問うと、「県営住宅の住民自治会が防災用倉庫を県住の敷地内に置くような場合に使用を認めた例がある」。このような事例であれば納得しない県民はいないはず。「真に必要やむを得ない」というからには、事業そのものの公益性が前提にあり、かつ他に代替手段がないということが重要なポイントになります。いくらでも他に選択肢のある単なる貸事務所として、漫然と特定団体に行政財産を提供し続ける行為は、財産規則の拡大解釈といえます。次回は使用料や解同側の反応についてレポートする予定。次回につづく。(2008年9月28日 高知民報)
団体対策の残滓
そもそも解同県連は、協業組合「モードアバンセ」をめぐる「闇融資事件」や「よこはま水産」問題に重大な責任を負う当事者団体であり、このような経歴を持つ団体が、いまだに県施設内に居座っていること自体が、県民に分かりにくさはぬぐえません。

県は「闇融資事件」を受けて平成13年度途中から、同和行政終結へと大胆に舵を切り、以後、同和団体への対応には公正さを貫いてきましたが、県立人権啓発センターの「目的外使用」は、唯一残されたといってもよい過去の「団体対策」の残滓。一刻も早く清算すべき時期にきています。

尾崎正直・県知事は「闇融資」事件から教訓を学び、県政改革をさらに発展させるための作業を県庁をあげてすすめていますが、そのバックボーンは同和団体への毅然とした対応のはず。新たな県政改革の実践のスタートとして、不透明な「目的外使用」をただし、公正な県有財産の管理をすべきではないでしょうか。(N)