2008年12月24日

やっとシカ捕れた 駆除作戦に朗報 県設置囲いワナに8頭 西土佐大宮
西土佐大宮の囲いワナ 人家から500メートルほどしか離れていない(県鳥獣対策課提供)
高知県はニホンジカの大量増加による森林の深刻な食害を軽減するために県事業としてシカ駆除をすすめていますが、このほど試験的に実施している四万十市西土佐大宮に設置された囲いワナで11月13日から12月17日の約1ケ月間に8頭のニホンジカを捕獲しました。

県はニホンジカの個体数調整の手法として、銃による捕獲とともに、無人の囲いワナを想定。今春から三嶺山系の白髪山周辺などで岩塩をエサに実証実験に取り組んでいましたが、成果は芳しくなく、1頭も捕獲できない状態が続いていました。

今回、西土佐で短期間に8頭が捕獲されたことは、今後の個体数調整事業をすすめていくうえでの朗報。県鳥獣対策課では、この成功例を教訓に、さらに実用化にむけて囲いワナの試験事業を推進していく構えです(現在は香美市・白髪山、本山町七戸、四万十市西土佐大宮の3カ所に設置)。

これまで白髪山でシカが捕れなかったのにもかかわらず、なぜ西土佐では捕れたのか。シカをおびき寄せるエサは白髪山では岩塩を用い、西土佐では菜花の切れ端を使用したことから、エサが要因のようにも思えますが、井上清・県鳥獣対策課長によると「西土佐のシカは人家の近くに多く生息しているため、人工物に馴れているということが一番大きいのではないか。深い山にいるシカの場合は、なかなか難しい」。

今回、西土佐で囲いワナによる捕獲が成功したことによって、地域の民間の中からも「1頭1万円の報奨金が出るなら、ワナを作って捕ってみようか」という声が出始めています。同地区では捕獲したシカ肉をジャーキーなどに加工して販売する「しまんとのもり組合」が活動していることもあり、このような動きが広がる中で、駆除がすすんでいくことが期待されます。(2008年12月24日 高知民報)