子供や家族連れに省エネをアピールする「エネルギー&エコロジー博覧会」(経済産業省四国経済産業局主催。2009年2月7、8日、高知市)に、原子力発電を子供にPRする「エネルギーワールド」が組み込まれていることが分かりました。「エネルギーワールド」は原子炉型トランポリンや原発のプラモデルを作らせ子供を遊ばせるもので、子供に原発への「親しみ」を植え付けることを狙っています。省エネイベントに原発推進を抱き合わせにする経済産業省のやり方に疑問の声が上がっています。
「エネルギー&エコロジー博」は06年から四国を一巡して省エネをアピールすることが目的。これまで松山市、高松市、徳島市で開かれていますが、いずれも原子力発電と関連する内容はなく、高知市で開かれる博覧会でも、当初は原発関連の話は何もないまま、環境NGOや企業が協力して準備が進められてました。
ところが9月、博覧会のかなりのスペースを割いて(別図)、「エネルギーワールド」が組み込まれていることが明らかになります。「エネ博」で節電コンテストの結果発表を計画していた「県地球温暖化防止活動推進センター(えこらぼ)」では、「準備段階では知らされていなかった。エネ博に参加することで原子力発電に賛成しているように受け取られかねない」という声が上がるなど、戸惑いが広がっています。
「エネ博」を主催する四国経済産業局エネルギー対策課では「過去3回の博覧会で『エネルギーワールド』はやっていない。イベント自体はまったく別のものだが、今回はたまたま同じ会場になっただけ」という回答。しかし、会場の配置図を見れば、両者一体で取り組むことは一目瞭然。入り口は共用で、「エネ博」を訪れた人が「エネルギーワールド」自然に流れるようになっています。
■高知県教委が後援承認 学校で宣伝する危険も
「エネルギーワールド」は、資源エネルギー庁と経済産業省の原発広報部門が主催しているもので、「青少年を対象にエネルギーとりわけ原子力についての関心の醸成や理解を深めることを目的」(企画趣旨)にしています。展示内容は原子炉型トランポリン、五重の壁(原発の安全性のPR)、原発プラモデル作成、プルサーマルくるくるツアーなど28項目。原子力発電や「核燃料サイクル」の優位性や安全性を一方的に「体感」させるものです。
四国経済産業局の原子力広報担当者は取材に対し「エネルギーワールドは1982年から全国で100カ所程度毎年やっており、2003年には安芸市で開いている。『エネ博』をちょうど高知市でやるので、エネルギーと環境という枠の中で相乗効果を狙った」と回答しました。
結局、高知の「エネ博」でだけ、児童生徒をターゲットにした原発広報イベントが抱き合わせで開催されるのかという理由は、四国経済産業局の説明からでは不明ですが、その背景には「高レベル放射性廃棄物最終処分場」など原子力関連施設の誘致にむけて県内で急速に強められている原発関連の広報、とりわけ児童生徒を対象にした宣伝の強まりの流れがあると考えられます。
四国経済産業局は「エネルギーワールド」の後援依頼を県教育委員会に提出し、11月20日に承認されていることから、市町村教委もこれに追随して学校の中で宣伝物が配布されることも予想されます。(2008年11月30日 高知民報) |