2008年11月17日

国保調整交付金「過大受給」返還 市町村から怒りの声 「こんなものは払えない」
市町村の財政力による国民健康保険の格差を抑えることを目的に国が市町村に交付している調整交付金の平成14年、15年度分のズレを要因にした「過大受給」を会計検査院が指摘した問題で、厚生労働省側が現実にはズレによって過小請求と過大受給が並存しているにもかかわらず、過大受給だけを一方的に問題視し返還を求めていることに、多くの市町村から強い反発が出ています。

高知市保険医療課によると同市の場合、14年度には約5300万円の過小請求、15年度は約1014万円の「過大受給」がありますが、14年度分は考慮されないまま15年度の1014万円だけを返還しなければならなくなっています。同市関係者は「法令に市町村が国に返還する場合の規定はあるが、国が市町村に払う時の規定はない。一方的に返還しろとは理不尽な話だ」。

高知市は12月議会に1014万円を国に返還するための補正予算案を計上する予定にしていましたが、他市からも強い批判が出ていることも考慮し、岡崎誠也市長の意向で12月議会への補正予算計上を見送る方針。

11月11日に高知市内で開かれた尾崎正直・県知事と県下全市長との意見交換会でも、この問題への批判が噴出しました。土佐清水市の西村伸一郎市長は「本当は200万円くらいもらえるのに470万円を払わなければならない。厚生労働省が言ってきても払わない。裁判になっても争うと指示している」と発言。他の市長からも「うちも同じだ。こんなものは払えない」という声が相次いで出されました。

岡崎誠也高知市長は17日、取材に対し「全国市長会でも、それはおかしいだろうという意見が出ている。先日(全国市長会の)理事会で土佐清水市長が総務省の課長にそのことを説明し、総務省が調べて返事をすることになっている。(高知市の)財政課は12月補正に(返還のための予算を)上げてきていたが、市長会の経過もあり、もらい過ぎの部分だけ返せというのは我々も釈然としないので、すぐ返すことはしない。予算計上はやめるように言ってある」とコメントしました。(2008年11月17日 高知民報)