2008年10月12日

コラム「アンテナ」 森田英二議員 また「30人学級やめよ」
質問する森田英二議員(9月30日、高知県議会)
9月30日の県議会本会議質問で自民党の森田英二議員(土佐市選出)は、県教委が取り組んできた小中学校への「30人学級」など少人数学級を見直すべきであると発言した。

森田議員は2006年3月にも本会議質問で「昔は50人、60人一教室にいた。加配教員に費やされている財源は学校教育だけでなく、もっと広い分野に投入すべき」と発言しているから「失言」ではない。「信念」から出てきた言葉であることは間違いない。

この日の質問で森田議員は、「学力テスト」の結果の市町村・学校別公表と、早急な高校の学区撤廃を県教委に強く迫った。その中で「学テ」の結果が全国平均より下位にあることを念頭に、「少人数学級が思うような成果をあげていない。少人数学級の取り組みを考え直すつもりはないか」と述べた。

さすがに中沢卓史県教育長も、これには同調せず、「課題のある学校には少人数学級がしばらく必要」と答弁した。

大規模校が多く、幾重にも課題を抱えている高知市内の中学校現場には「30人学級」拡大を切望する声は非常に強い。また今年度から1年生に「30人学級」が新たに導入された中学校からは「一番生徒が落ち着かない2年生にこそ少人数学級が必要」という制度拡大を求める悲鳴のような保護者の声も聞えてくる。このような現場教員や保護者の声を森田議員はどのように受け止めているのか。

結局、森田議員の言っているのは「学力が低いのは教師ら楽をしているから。教師に楽をさせるな」ということでしかない。本気で森田議員がそう考えているのなら、まずは森田議員の地元である高岡中学校から「30人学級」を返上するように土佐市教委に提案してみたらどうだろうか。

高岡中学には2004年から「30人学級」が導入され、現在は1年から3年まで全クラスが「30人学級」になっており、県下有数の手厚い教員配置となっている。高岡中の実情をよく知る県教委関係者は「高岡中は4年前とは学校の雰囲気が全然違ってきた。落ち着いて勉強ができるきようになった」と言っていた。また高岡中だけでなく。「30人学級」を試行しているすべての学校が「生活習慣、人間関係づくり、基礎学力の向上定着に効果がある」と県教委の調査に回答している。

高知県の生徒の学力に課題があることは「学テ」の結果如何にかかわらず事実だろう。だからこそ「少人数学級」の拡大が今こそ求められている。森田議員の言っていることは論理があべこべ、逆転している。学力の向上を真面目に考えているとは思えない。(2008年10月12日 高知民報)