2008年9月30日

「子供に軸足置いて判断」 松原・高知市教育長の会見要旨
松原・新高知市教育長
9月30日に開かれた9月定例高知市教育委員会で、吉川明男氏の死去によって空席になっていた高知市教育長に、元県立大方高校校長の松原和広氏が新しく選任されました。松原氏は教育委員会終了後会見を開き、今後の教育行政に臨むにあたっての基本的な考えを明らかにしました。記者とのやり取り要旨は以下。

松原 吉川前教育長が急逝した。彼は若い頃、市教委で一緒にやってきた仲間だった。その後任ということは身の引き締まる思いがするが、彼の遺志をしっかり受け継いで、本市教育のために力を注ぎたい。特に学力を何としても高めて、期待に応えたい。

−−学区撤廃についての見解を。

松原 学区の撤廃により高知市の子供たちがどんどん郡部のほうの学校に行かなければならない状況になってくると、これはどうなのかなという思いがある。県教委としっかり話をして対応していきたい。

−−前教育長の「撤廃に同意できない」との姿勢を引き継ぐということか。

松原 そうだ。

−−学テの結果を、知事や県教育長は市町村ごとに公表することが望ましいと言っているが。

松原 いろんな考え方があると思うが、市教委としては、いたずらに結果を公表して、保護者の不安をあおることはいかがなものかと言ってきた。ただ学力の問題は学校だけではなかなか解決が難しいということもある。たとえば家庭学習は学校だけでは難しい。このようなこともあるので高知市の実態をしっかり保護者に知らせて、一緒に取り組んでいくことはやっていかなければならないが、(テストの)素点がどうなのかというような問題ではない。学力を支える家庭の状況などは、保護者と一緒になって教育にあたっていく重要な資料になるのではないか。

−−9月議会での県教委に点数を「公表しろ」と言われても「市教委としては公表しない」という答弁は踏襲するのか。

松原 点数だけでいくと、また違った問題になる。素点ではなくて、そういう学力にならざるをえない背景が(調査には)浮き彫りにされていると思うので、このような問題を保護者に返していくことはしっかりやっていく。

−−新教育長の特長が出てくるのはいつごろか。

松原 各課の課題を全部洗い出して話をよく聞き、学校現場をできるだけ見たい。十把一からげでものを言うのは簡単だが、実際には学校ごとに個々の課題があると思う。一カ月くらいで「松原カラー」のようなものは出していきたい。特に学力面で。

−−高知市教委と県教委と両方の勤務経験があるが、県教委へのスタンスは。

松原 かっこよく言えば、子供たちのために何ができるかというのがスタンスだ。これは市教委にいた時も県教委にいた時も変っていない。何でも是々非々でいかなければならない。県だ高知市だということではなくて、いいことはいい。やらなければならないことはある。いかんものはいかん。私の後ろには24000人の子供たちがいる。軸足をそこに置いて判断していく。そういう気持ちでいる。

松原和広氏の略歴

駒沢大法学部卒、高知市立西部中教諭、高知市教委学校教育課指導主事、同教育研究所教育研修班長、同学校教育課管理主幹、同学校教育班長、同学校教育課長、高知県教委学校教育課課長補佐、高知市立愛宕中校長、県教委学校教育課長、同小中学校課長、県立大方高校校長、(兼)大方商業高校校長、県社会教育委員、高知学園短大講師を歴任し、2008年9月30日から高知市教育長。(2008年9月30日 高知民報)