2008年9月21日

「学区制は残すべき」 中越武義・梼原町長が知事に直言
9月13日、中越武義・梼原町長が学区撤廃に異を唱える発言をしました。これまで高校教育問題検討委員会における学区制をめぐる議論では、撤廃に積極的な委員から「高知市だけが優遇されている」などという声が出され、「高知市VS郡部」というような構図が作られてきましたが、高知市教委の関係者だけでなく、郡部の首長からも撤廃反対の声が出たことは注目されます。

中越町長の発言は同日、高知市かるぽーとで開かれた尾崎正直・県知事の「正直フォーラム」のパネルディスカッション。パネリストとして出席した中越町長が、教育問題についての討議の中で、「時間がなくなったらいけないので、今言わせてもらう」と自ら知事に投げかけたもの。

発言内容は以下。「高等学校の学区制の撤廃。これは高等学校問題検討委員会で検討してきたことが教育委員会に出された。政治と教育とは当然別に考えなければならない重要なことだが、やはり県立高校のあり方を考え、どこの学校でもしっかりした教育ができるということを考えて、私は今の学区制というのは、やはりある程度おいておかないといかないのではないかという思いを持っている。そういうことも考えて是非、知事、考えてほしい」

解説 中越町長の発言は、学区撤廃が高校統廃合を加速させ、梼原高校などの郡部の小規模高校が廃校の対象になることを懸念してのものと思われます。これまで高知市教委が、受験生が集中する高知市内の高校から、高知市の生徒がはじき出される現象を懸念する立場から、学区撤廃に異を唱えていることがクローズアップされていましたが、山間部でも町長が公然と知事に問題提起せざるを得ないほど地元に高校を残すために学区撤廃に反対する要求があることが示されました。しかし、学区問題を検討してきた同検討委員会では、山間部の事情の分かる委員がほとんど選ばれていないこともあり、学区撤廃が、統廃合や「高校再編計画」(※)に及ぼす具体的影響の言及はなし。専門的知識のない委員の「選びたい学校が自由に選べないのはおかしい」、「撤廃しても大した影響はない」などいう「自由化」をあおる発言が際立ち、統廃合で学校が消え選択肢が奪われる山間部の議論は皆無でした。

※高校再編計画 県教委は今後の生徒数の減少に対応して「高校再編第一次計画」(15年)で全日制高校を平成25年度までに39校から31校程度にまで減らす計画を立て、「第二次計画」(18年)では仁淀、大栃の廃校を決定。追手前吾北分校、中村西土佐分校は入学者が20人に満たない年度が3年間のうち2度あれば廃校するという方針を打ち出している。さらに23年度には「第三次計画」を策定して統廃合を推進していく方針。(2008年9月21日 高知民報)