2008年9月21日

「学区撤廃望ましい」 高校教育問題検討委が報告書提出 中沢県教育長「年内に結論出す」 
「学区撤廃が望ましい」とする報告書を県教委に提出する松永・検討委会長(9月9日)
県教委が高校入試制度の改変するための審議を諮問している「平成20年度高等学校教育問題検討委員会」(松永健二会長)は9月9日、県下の普通科高校の入試に設けられている通学区域を撤廃して全県一区にすることを「望ましい」とする報告書をまとめ、中沢卓史県教育長に県庁内で面談し提出しました。この直後、中沢教育長は取材に対し「年内には県教委としての結論を出す」とコメントし、最短で平成22年度から学区撤廃・全県一区となる可能性を示唆しました。

同検討委は6月5日に第1回目の会合を開き、8月18日までに合計3回の全体会(委員25人)、3回の専門委員会(委員10人)を開催し、@前期・後期入試のあり方、A県立中の入試方法、B学区制・通学区域の見直しについて審議を行ってきました。

学区問題についての議論では、森田昭司・県小中高PTA連合会長(土佐市)、坂本あや・ビオス大方取締役(黒潮町)、長尾ゆかり・とさはちきんネット運営スタッフ、明神千代・高知工科大教授などの委員から「学校が自由に選べないのはおかしい」、「高知市ばかりが優遇されている」という強硬な意見が出される一方で、岡村修・高知市教育次長、青屋憲介・南海中教諭、横田妙子・高知市教育研究所長、垣内守男・県立南高校長など学校現場の実態に精通している委員からは、「自由競争」によって行き場を失う成績下位層の生徒への深刻な影響や、高知市内の高校にも地域性が必要だという立場から、学区撤廃への反対や慎重さを求める意見が出されたことが議論の特徴でした。

全体会の座長として報告書を最終的にとりまとめた松永健二・高知大学教授は、報告書の提出後、取材陣の高知市への一極集中の強まりの懸念の指摘に対し、「一極集中を学区制でとめようとしても無理がある。他の方法でやるべきだ」と話しました。19年度検討委が昨年1月にまとめた報告では学区制については「状況を見ながら継続審議とする」されており、今回の「撤廃が望ましい」という報告は、全県一区へと大きく踏み込むものです。(2008年9月21日 高知民報)