2008年8月24日

コラム「アンテナ」 公明党ポスターを考える
街頭にはりだされた公明党のポスター
公明党の新しい若者向け政党ポスター8種が街中に貼られている。斬新なデザインで色もカラフルなのだが、書いてある意味がよく分からない。

まずポスターに書かれているディスコ風人物のシルエット。これは「シェケナ家」というキャラクター一家のコンペイとコウメで、「シェケナ」というのはロックン・ローラー内田裕也の物マネでよく使われる「Shake it up Baby」の「シェケナ」と思われるが、単にふざけているのか、深い意味があるのか?その意図はよく分からない。

そしてスローガンの内容。8種の文句を書いてあるが、これまた意味が不明である。

たとえば「打倒CO2!!」というバージョン。昨今の地球温暖化への関心の高まりから、CO2排出削減を訴えたいのであろうが、CO2を打倒するとはこれいかに。二酸化炭素は有毒ガスではない。大気を構成する重要な要素であり、植物が光合成によって糖分をつくりだす源、地球の温度が下がり過ぎないようコントロールする大切な役割もある。排出と吸収のバランスが取れた社会をめざすべきであるが、CO2が少なければ少ないほどよいというようなスローガンは不見識だろう。

次は「贅金(ぜいきん)カット。」。贅肉(ぜいにく)の贅の字を使い、税金の無駄使いを正すという意味合いと思われるが、あちこちで指摘されているように、街頭でぱっとこのポスターを見た時、どう見ても「賃金(ちんぎん)カット」にしか見えない。誰が見ても誤解するようなポスターをわざわざはり出すその神経もよく分からないが、最大の「贅金」は公明党自身が受けとっている年間20億円を超えるような莫大な政党助成金ではないのだろうか。

そしてコンペイがテレビゲームをしながら「元気がないんじゃない。元気のやり場がないだけだ。」と言っているポスター。「ワカモノがイキイキする職場をつくるのも政治の役割です」とも書いてある。書いてあることは、もっともだが、ワカモノがイキイキできない職場をつくった公明党の政治責任をどう考えればよいのだろうか。

今日の青年労働者の深刻な労働の状況は、1999年に派遣労働が原則自由化され、使い捨てられる若者が大量に増加したからであることは論をまたない。この法案に公明党は賛成(自民、民主、公明、自由、社民賛成、反対は共産)。03年には派遣期間の制限を1年から3年に延長するなどさらなる改悪案にも公明党は賛成(賛成は自民、公明、保守、反対は民主、自由、共産、社民)している。まるで「毒を食らわば皿まで」というような勢いで、自民党と二人三脚を組んで労働法制を次々と改悪してきた。ワカモノがイキイキできない社会の「A級戦犯」は公明党自身だ。重大な責任負う政府与党でありながら、そこに何の反省もみられない「シェケナ」なポスター。「若者には何も分かりはしない」とでも思ってるのだろうか。公明党という政党は、若者をなめているとしか思えない。(2008年9月14日)