2008年7月28日

県教委・高知市教委が自民党支部と並び「米飯給食講演会」を後援 「主催者と事業内容で判断。問題ない(県教委)」
県教委と自民党支部が並んだ講演会のチラシ
7月26日に高知市のかるぽーとで開かれた「米飯学校給食」をテーマにした講演会(主催「安心、安全な消費生活づくりネットワーク」、安岡冨士子代表)を、高知県教育委員会・高知市教育委員会と並んで自民党支部が後援していました。県教委が特定政党と共に後援に名を連ねることは、教育の政治的中立を侵しかねません。

講演会の講師は大塚貢氏。長野県の小規模自治体における米飯給食の実践により、非行防止や学力向上につながったという取り組みを報告する内容の講演ですが、政治的には改憲タカ派集団である「日本会議」の機関誌が大塚氏のインタビューを掲載したり、タカ派ジャーナリストで知られる桜井よし子氏が、高く評価するなど、全国的にはタカ派の運動に利用されている実態もあります。

講演会では、講師の講演終了後、自民党支部の女性役員がアナウンスで紹介され、登壇して発言した後に講師に花束を手渡すというシーンが見られました。

今回の講演会のチラシには県教委、高知市教委、高知新聞、NHK高知放送局とともに、自民党県第一支部女性局という記載があります。

県教委の後援事務を統括する同委総務福利課の川井正一課長は「このようなケースはこれまで例がないが、後援の基準は主催者と事業内容。政党の後援とは直接の関係はない。主催者と事業内容が県教委の後援基準に合致していたので後援した。問題はないと考える」、吉川明男・高知市教育長は「自民党が後援するということは知らなかったが、後援の判断はこれまで県教委に従うことを原則にやってきているので、今回も県教委がよいというならば、高知市教委だけダメということにはならないだろう」と回答しました。 

後援事業について細目を定めた県教委の事務取扱要領には、「他の後援者(予定を含む)」を申請の際に記載させる規定があり、「自民党支部に後援を申請中であるという記載があった」(川井課長)。自民党支部と名前が並ぶことを承知で県教委は後援を承認したことになります。前教育長時代の県教委は、後援事業の政治的中立性について、非常に厳格な対応をとっていました。今回の事例はこれまでの県教委の方針転換ともいえ、波紋をひろげそうです。(2008年7月28日 高知民報)