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学区撤廃反対の意思表示をする吉川教育長(6月19日、高知市議会) |
県教委が高校入試制度などの改変の方向性の審議を諮問している「高等学校教育問題検討委員会」(松永健二会長)で県下の普通科高校の入試に設けられている通学区域を撤廃して全県一区にする議論が強まっている中、6月19日の高知市議会本会議で吉川明男・高知市教育長は「学区撤廃には同意できない」と答弁しました。
吉川教育長の答弁は日本共産党の林昭子議員の質問に答えたもの。発言の内容は以下。
「現在の学区が撤廃されるようなことになると高知市内の高校への一極集中に拍車をかける一方、過疎地の高校の存続にかかわる問題だ。県外では学区を撤廃した県も確かにあるが、高知県のように東西に広い面積を持ち、交通網が未整備のうえ人口が高知市に集中している中で、高知市の子どもたちが、高知市近郊の希望する高校に進学できず、遠隔地の高校に進学せざるを得ない状況になると、子供本人の様々な苦労はもとより、通学費や下宿代など保護者が負担する費用の面からも影響は甚大なものがある。高知市教育委員会としては、高校の学区を撤廃することは同意できないと考えており、今後はその立場で県教委に強く要請していく」
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学区撤廃についての議論が行われた6月5日の「高等学校教育問題検討委員会」では、高知市教委を代表する幹部が欠席していたことから、高知市の生徒の進路を保障する立場からの意見は皆無。異論のないままごく短時間の審議で「学区撤廃」の方向に議論がすすめられようとしていました。全体会の予定はあと2回だけ。あらかじめ議題も決まっており(2回目は県中一貫校、3回目は報告書のまとめ)、あわただしいスケジュールで、審議時間もわずかな時間しかありません(一部委員による専門部会がこの他に2回あるが、高知市教委代表は委員ではない)。
しかし、県下の受験生の4割近くを占める高知市教委を代表する教育長が、議会の場で「同意できない」と発言したことは、重い意味を持つことから、今後の検討委員会の審議に重大な影響を与えるものとなります。
市教委事務局は、当初「学区を撤廃するのなら、見合った定員の増を求めていく」という見解でしたが、吉川教育長の判断で「同意できない」という明確に踏み込んだ意思表示となりました。吉川教育長は「私は高知市の子供を守る立場。そのために市教委としてしっかりやる」とコメントしました。(6月29日 高知民報) |