2008年6月26日

県・高知市統合図書館に「黄信号」 追手前小「跡地」利用見通しさらに混沌
両館の違いを強調し、統合に消極的なまとめを記載した報告書
高知県立図書館と高知市民図書館の統合や合築について、昨年4月から現場レベルで検討を加えてきた「県立図書館・市民図書館問題検討委員会」が、このほど両図書館の機能の違いを強調して、現在の統合議論が中心市街地活性化とセットにされている状況を否定的にとらえるなど、統合・合築に消極的な内容の報告書をまとめました。

県市統合図書館構想は、岡崎誠也・高知市長の中心市街地活性化策の目玉。現場レベルの議論とはいえ、検討の結果、両図書館の統合に否定的な報告が出されたことは、今後の「中心市街地活性化構想」の流れに「黄信号」が灯ったといえます。

県教委生涯学習課の濱田久美子課長は、「現場の話としてそのような報告が出ているのは事実だが、課としての意見としてとりまとめたものではない。まだ公表する段階ではないという認識」、一方で千浦孝雄・高知市民図書館長は、「岡崎市長が6月議会で報告書の存在に言及しており、方向性を示すものではないが参考にしていくと答弁している。昨年4月から検討してきた結果であり、求めがあれば誰にでも渡している」と取材に回答しました。

この報告書は、両図書館の関係者が、コスト面だけでなく、館が果たすべき役割をじっくり検討した結果、統合・合築はふさわしくないという方向を示したもので、「図書館の将来だけを考えて客観的に報告をまとめることに留意した。検討の結果、統合・合築による課題が非常に大きいことが明らかになった」(千浦・市民図書館長)

昨年1月の岡崎市長と橋本大二郎県知事とのトップ会談以後、両図書館の統合・合築にむけた検討作業が行われてきましたが、昨年12月には知事が変り、副知事、教育長など県側の当事者も総入れ替えになった結果、検討は事実上頓挫。「現場に統合していこうという空気はまったくない」(県教委関係者)。一方で県立図書館問題と深くリンクしている高知女子大の永国寺キャンパスに文化学部を当面存続させる方向へ県の方針が転換されつつあることから、統合・合築よりも、女子大・県立図書館の合同整備を選択する現実的可能性も出てきています。(2008年6月26日 高知民報)