2008年4月27日

「働きかけ」公表制度もういらない? 「再総括」の中で骨抜き狙う 自民党・森田英二県議

闇融資民事訴訟和解を受けての知事会見 事件の「再総括」、職員カンパに言及した、(3月25日)
「モード・アバンセ」への「闇融資事件」の反省から生まれた「職務に関する働きかけ」公表制度が、改めて県政改革の焦点になっているもとで、4月16日の県議会総務委員会業務概要説明の質疑で自民党の森田英二議員が同制度について、「知事が対話型で信頼に基づいて県政をはこぶのならいらないと思う」などと発言しました。

尾崎正直知事が「闇融資事件」の民事訴訟が和解し、橋本大二郎・前県知事らが2000万円を県に支払うことが明らかになった3月25日の記者会見で「この間の県政改革の実践の検証」をすすめると表明していることから、制定当時から「働きかけ」公表に抵抗してきた自民党県議を中心に、この機に一気に制度を骨抜きにしようという攻勢の強まりの一環としての露骨な発言といえます。

尾崎知事は、就任直後の12月県議会で「働きかけの公表については、こうした取り組みを後退させることなく、透明で開かれた県政をさらに進めていきたい」と答弁しました。3月25日の記者会見では「闇融資事件」を再総括し、これまでの「県政改革」の取り組みを検証するために外部委員による検証委員会をつくることを表明。さらに3月27日の記者会見では、「働きかけの定義をもう少し明確にして記録する職員が悩まずに、制度の実効性を高めていけるようなものにできないか考える必要がある」と述べて、現行の「働きかけ」公表制度を見直す姿勢を示しています。

森田県議の発言は、「働きかけ」公表制度のあり方が県政改革の鋭い対立点になっている中で、同制度を敵視している自民党県議団の本音であるといえます。

尾崎知事は昨年12月の知事選挙で「橋本前知事の県政改革を受け継ぐ」と訴えて当選しています。仮に知事が当選後に述べていた「働きかけ公表は後退させない」との所信を裏切るような「見直し」を行い、過去の県政を歪める元凶となってきた県議の「働きかけ」を対象から外すようなことがあれば、県民の批判は避けられません。

森田県議の発言について橋本大二郎前知事は取材に答え以下のように述べました。「対話の県政と『働きかけ』とは全く関係ない。知事や県職員が県民と対話していくことと、何がしかの思いを持った人が、県に対して『働きかけ』をしてくることは全然別の話。働きかけの中に問題点が内在し、その問題点を取り除いておくために公表という仕組みを取り入れることは、対話の県政であれなんであれ当然やるべきだ。闇融資事件後の県庁内での議論からも『働きかけ』公表は、県政改革の最も重要な柱の一つだと思う。内容を深めていくことはあっても、やめるということにはならないのではないか。『働きかけ』は何も悪いことではない。県議であれなんであれ、いろんな働きかけがあり、県民が公表された資料から判断すればよい。細かい線引きはやめて全部公開していくべきだと任期最後の数カ月間は言ってきた」

森田英二県議の質問と執行部答弁の要旨は以下。

森田県議 「働きかけ」は一時期すごく流行った。それなりに成果もあげたが、国会議員も県会議員も市町村長、市町村議員も特定市民と同じ扱いで言質をとられるようになっている。対話主体に知事も変った。いつまでも、こんな制度が本当にいるのか。5年たって機能しているのか。

片岡克夫・県政情報課長 15年度は37件、それ以降は減っている。職員アンケートによると「働きかけ」自体が減ってきたという声の一方で、「働きかけ」かどうか判断に迷ったので記録しなかったという声もある。県政改革のとりくみを検証していくので、「働きかけ」制度についても、しっかり検証して、見直すべきところがあれば見直していきたい。

森田県議 検証委員会の協議のテーブルに載るということか。県政には透明性もできてきた。果たして県民と忌憚のない対話をする知事にふさわしいシステムなのか。情報共有は県庁職員の意識の問題。こんなルールを作らなくてもできる。知事が対話型で信義にもとづいて県政をはこぶと言っているのだから、いついまでもいらないと思う。

恩田馨・総務部長 実績ではかなり件数が少なくなってきているが、一方でこの制度があるおかげで、こないということもある。最終的に県政改革でやってきたことを整理したうえで十分検討していきたい。

森田県議 結構だ。ぜひそういう方向で協議してほしい。(2008年4月27日 高知民報)