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チラシを配る尾崎知事。通行人の反応は冷めていた |
2月28日、道路特定財源の暫定税率維持を求めて尾ア正直県知事が街頭でチラシ配りに立った。場所は昼休み時の大橋通り「ひろめ市場」前。副知事や道路課職員を引き連れ徒歩で姿を現した尾ア知事は、背広の上に法被を羽織り、県民に「暫定税率を維持することが必要です」と書かれた知事の顔写真入りチラシを配り始めた。その「腰の軽さ」はさすが。若いだけにフットワークはよい。
ただ県民の反応は冷え切っていた。「これほど人通りが少ないとは」と、以前の大橋通りを知っている知事が驚くほど人通りがまばらであったこともあるが、時おり行き交う通行人に駆け寄り「暫定税率維持を求めています」、「暫定税率がなくなると道ができなくなります」と語りかけても、知事の熱心な支持者と思われる幾人かを除くと、反応が返ってこず、ほとんど対話にならない。「私は暫定税率廃止に賛成ですので」と受け取りを面と向かって拒否する男性もいた。
通常であれば、これほど社会的な関心が高い問題で、県民要求に沿ったチラシを配れば、かなりの反応があるもの。まして県知事が出てきているともなれば場が華やぎ対話が弾むものだが、まったくシラっとした雰囲気だったのは何故だろうか。
大勢のマスコミのカメラの前で、知事から手渡されたチラシを公然と拒否する人がいるほど、暫定税率維持を頑なに求める県の姿勢が、県民の目に冷ややかに映っていることの現れではないだろうか。
チラシを受け取った人も、断るのも気の毒なので拒否しなかっただけの人が大半であろう。仮にここで配ったのが、消費税増税や後期高齢者医療制度に反対するチラシであれば、沸き立つような強い反応がでたに違いない。
結局、20分間ほどで知事のチラシ配りは終わったが、この中で彼は何を感じ取ったのだろうか。知事に手応えを問うと「断られたのは1人だけ。反応はよい」という受け止めをしていたようだが、本当にそう思っているとすれば困りもの。知事たるもの県民の声への感受性をもっと磨いてもらわなくてはならない。(2008年3月9日高知民報) |