2008年3月9日

どうなる地デジ放送 テレビ難民ゼロめざして(中) NHK アナログ100%に自信 2010年内に
虚空蔵山(佐川町)のデジタル中継局 NHKと民放の共同で設置されている
2011年に予定されている地上波テレビ放送のデジタル化、アナログ放送停止まで3年余。2月24日号で報じたように、高知県内に数多く存在する難視聴地域でのデジタル放送への対応の鍵を握るのが共聴施設の改修ですが、「自主共聴」に続き、今回は「NHK共聴」のデジタル対応と中継局設置について報告します。

 「NHK共聴」とは、放送法でNHKに課せられている難視聴解消対策の一環として、NHKが設置に責任を負っている共同受信施設。中継局からの電波をヘッドエンドと呼ばれる受信装置で受け、有線ケーブルで加入世帯に送っています。ヘッドエンド・伝送・幹線部分はNHKの所有、各戸に引き込む支線部分は各世帯で構成するテレビ組合所有とされているのが一般的で、民放との共用部分は、按分してテレビ組合がコストを負担しています。

県内の「NHK共聴」数は08年2月の段階で327。中山間部では開けた国道沿いの集落を中心に広がっており、「自主共聴」と比べ加入世帯が多いのが特長です。

信清昌広・NHK高知放送局技術部長は、「アナログ100%(現在アナログ放送が映っているエリアは、すべてデジタル放送を見られるようにする)はやる。新たにケーブルテレビ化に取り組む四万十町などをのぞいて2010年には共聴設備のデジタル対応を終わらせる。07年度は327のうち60程度対応した」と、積極的に共聴施設のデジタル対応をすすめる姿勢を示しました。

ただし利用者に工事スケジュールなど情報を知らせているのかとの問いには「こちらから情報の提供はしていない。要請があれば、出かけて行って説明している」。情報が不足して不安を募らせている利用者への広報活動には課題を残しました。

中継局の減少
 
地上デジタル放送にともない、現在県下に93あるNHKのアナログ中継局(高知放送86、テレビ高知80、さんさん高知26。親局からの電波を受けて再送信する施設)は、民放と共同で設置する39プラス最大14局(プラス分は実際の受信状況をみて設置を判断する)の新しいデジタル中継局に集約されることから、これまで電波を受けていた局が無くなる地域で不安の声が出ています。

日高村企画課の藤田浩課長補佐は「名越屋地区の自主共聴施設が電波を受けていた伊野局が無くなる。親局か佐川の虚空蔵山の局でカバーできるとのことだが、実際にはやってみないと分からない。08年度に村事業として、これまでの受信点が利用できるかどうかの調査をすることにしている」。

信清・NHK高知放送局技術部長は「これまでの中継局のかなりの部分が、ゴースト対策(二重写り)のため。デジタル放送にゴーストはないので、中継局が減っても対応できる。電波を出してみなければ分からないところ(映るか映らないか)は確かにあり、最終的な中継局設置は今年3月中にははっきりさせる。局が減ってもアナログ放送エリアの99%は確保できる」

しかしデジタル化にともない、新たな難視聴地域が発生する可能性もあります。その場合の対応について信清部長は「新しい共聴施設をつくるなどの手段を考え、それでもダメな場合にはセーフティネットとして暫定的に衛星放送を使う。衛星ではローカル放送を見ることができないので、さらに他の手段を考えていく。9月には衛星を使う場合の具体的な指針がNHKから示されるはず」と話しました。(2008年3月9日高知民報)