2008年2月17日

暫定税率撤廃で県民負担減は年間150億円 車1台2・7万円 道路特定財源
暫定税率廃止の場合の高知県民負担軽減額の試算(年間額)
ガソリン税 75億円(高知県内の年間消費量約3億リットル)
自動車重量税 40億円(高知県の車両台数全国比0・7%から推計)
自動車取得税 5・3億円(高知県税務課調べ)
軽油引取税 31億円(高知県税務課調べ)
道路にしか使うことのできない税金である道路特定財源(ガソリン税、軽油引取税、自動車取得税、自動車重量税)にかかる暫定税率が3月末から4月末にかけて期限切れを迎えるにあたって、高知県をはじめ県内の自治体は歳入減を理由に「暫定税率死守」を声高に主張していますが、一方でほとんど語られないのが県民負担の軽減分。暫定税率が撤廃された場合に、高知県民の負担がどれくらい減るのかを調べました。

ガソリン税 道路特定財源の中で最も金額の大きいのがガソリン税。国税でガソリンの元売り段階で1リットルあたり53・8円
ガソリン高騰は県民生活を直撃している
課税され、ガソリンの価格に含まれています。国は税収のうち5・2円分を県と市町村に地方道路譲与税という名目で下ろしています。

ガソリン税の暫定税率撤廃で1リットルあたり25・1円の負担減となり、県内の年間ガソリン消費量は305687キロリットル(平成18年度、四国経済産業局調べ)、約3億リットルですから、年間約75億円の県民負担が軽減されることなります。

自動車重量税 ガソリン税以上に非常に高額な(約2・5倍)税金をとられているのが重量税の自家用乗用車分。全額が国税で自動二輪以上の自動車に年ごとに課税されています(軽二輪は登録時だけ。他は登録時と車検ごとにまとめて先払いしている)。税収の3分の1は自動車重量譲与税として市町村に交付されています。

県別の税収額を調べるために財務省主税局に問い合わせましたが、「国では県別の集計はしておらず数字はない」。

そこで18年度に全国で集まった重量税の総額1兆1000億円から推計することに。19年11月時点の全国の自動車台数は約7900万台(自動2輪以上、原動機付き自転車除く)。高知県内は約56万台(0・7%)という数字から考えると県内分の重量税負担総額は年77億円。暫定税率を本則に戻すことにより年間約40億円の負担減となり、車検時の重量税納付額は激減します。

自動車取得税 自動車を購入した時にかかる税金で県税ですが、税収の66・5%は市町村に交付されます。暫定税率では自家用車のみ本則3%が5%へと引き上げられており、撤廃された場合には年間5・3億円の県民負担が軽減されます(県税務課調べ)。

軽油引取税 軽油価格に含まれており全額が県税。船舶用など道路を使用しない用途の場合には免税されています。暫定税率が撤廃されると1リットルあたり17・1円安くなり、18年度の実績から計算すると年間約31億円の県民負担が軽減されます(県税務課調べ)。

このように道路特定財源の暫定税率撤廃により、ガソリン税75億円、自動車重量税40億円、軽油引取税31億円、自動車取得税5・3億円(いずれも年額)、合計151・3億円の県民負担が軽減されることになり、単純に計算をすれば車1台あたり年2万6900円の負担減となります。

不況下でのガソリン1リットル150円を超える原油高は県民生活を直撃。農業経営や漁業にも深刻なダメージを与えています。多くの県民から「高速道路やバイパス建設のペースは落としても構わない。負担を軽減して家計や営業支援をすべきだ」という声がわき上がっています。(2008年2月17日高知民報)