2008年1月27日

本当に必要か?道路特定財源 県主導総決起集会 目に余る“演出” 「作業着不可」
尾ア知事、自公国会議員を先頭に帯屋町帯屋町をデモ行進(1月20日)
ガソリン税、軽油取引税、自動車取得税、自動車重量税の道路特定財源の暫定税率撤廃と一般財源化に反対する「県民総決起集会」が1月20日、高知市の県民文化ホール・オレンジで開かれ1300人が参加しました(主催・県道路利用者会議、道路整備促進期成同盟会高知県地方協議会、高知県、主管・土佐はちきん連合)。(集会の動画はこちら)

道路特定財源の問題は、県民負担とこれからの車社会や道路整備のあり方を考えていく上で重要なテーマですが、今回の「決起集会」を主導したのは実質的には県土木部道路課。県民世論が大きく分かれる政治的な問題を県が主導して世論誘導していく手法は行政のあり方を逸脱しかねません。

集会では尾ア正直県知事が主催者あいさつに立ち「道路特定財源の暫定税率の維持が絶対的に必要だ。高知県だけのエゴではなく日本全体の課題として発信していくことが大事。暫定税率が維持できればなんとか着実に必要な道路の整備をすることができる」と述べました。

集会に出席した国会議員は、自民党の福井照、中谷元、西本勝子各衆議院議員、公明党の石田祝稔衆議院議員、民主党会派の無所属・広田一参議院議員でした。欠席は自民党の山本有二議員、民主党の武内則男参議院議員。

自民党西本議員は「自民党は責任政党。民主党案は財源を示さない甘言」と民主党を攻撃。中谷議員は小沢一郎・民主党代表を「責任ある対応をしていない」と批判し「ポピュリズムに陥ってはならない」と、暫定税率撤廃を求める多くの国民世論に敵意を剥き出しました。

欠席した民主党の武内参議院議員は、あたりさわりのないメッセージにとどまり、一方で無所属の広田議員は出席国会議員中唯一鉢巻きを着用をせず、与党が道路特定財源の数%を一般財源に回していることを「流用」と強く批判。同時に民主党の一般財源化と暫定税率撤廃方針も無責任であるとして賛成できない意向を示し、与党案でも民主党案でもない第3の案を提起したいと述べました。

「作業着不可」

この集会にあたって非常に気を遣っていたのが「一般市民の参加」という演出でした。県道路課が報道機関に配布したプレスリリースには「一般の方を中心におよそ1000名が参加します」と記載されていましたが、実態は行政関係者と動員された建設業界関係者が大半であり、一般市民の参加とはほど遠いものでした。

1月10日付で県建設産業団体連合会(広範な建設関連団体が加入している)が加入団体に送付した通達には、「県土木部道路課から当連合会に対して盛大な大会となるよう協力依頼がありました」と記され、参加者名簿を1月17日までにFAXで集約するという動員体制が取られました。またこの通達には「参加に当たっては、業界色を出さないために、軽装でお越し下さい(作業着不可)」という記載までありました。

集会当日、会場スタッフを務めていたのは、カジュアルな服装で鉢巻きを巻いた県道路課職員。集会の司会や演出は「土佐はちきん連合(高知の元気な女性組織)」という女性団体が運営する形になっていました。暫定税率が廃止された場合の影響について同連合の若い女性が登壇し、「暫定税率が廃止されたら私たちの生活にどんな影響がでるのか説明します」、「家の前の道路の舗装が痛んでも直すのが難しくなるかもしれません」、「子供たちに安心して通れる道を残したい」などと個人の立場を強調した発言がありました。

しかし、この女性も県道路課職員でした。集会ではこの女性が県道路課職員であるという説明はありませんでした。県道路課に「県が第三者のように市民団体を装うことは、県民に誤解を与えるのではないか」と聞きましたが、同課は「『はちきん連合』の事務局は道路課にあり、課の業務として集会に参加している。確かに道路課職員とは言っていないが、道路課の職員でもあり、『連合』のメンバーでもある。説明は『連合』の他のメンバーとの分担でたまたましただけで、誤解されるようなものではない」と述べました。(2008年1月27日高知民報)