2007年11月25日

就学援助切り下げは子供直撃 高知市が見直し狙う
公立小中学校に児童生徒を通わせている所得の低い世帯を支援し、義務教育の無償化を補完する重要な役割を果たしている「就学援助」制度が、今、高知市で水準低下、切り下げの危機に瀕しています。

2006年12月の高知市議会で岡崎誠也市長は「制度維持のために所得の基準や支給の費目等について総合的に検討していく」と答弁し、水準を切り下げる可能性を強く押し出しました。

「就学援助」とは、経済的に困窮している世帯に学用品費や給食費、修学旅行費用をなどを支給して児童生徒が義務教育を受ける権利を保障する制度で、高知市の受給資格は@生活保護を受けている世帯(教育扶助)、A生活保護に準ずる程度に経済的に困窮していると認める世帯(生活保護の1・3倍の収入、準要保護)。小学校の給食費は月額約5000円、中学校の修学旅行費は6〜7万円ほどが支給されています。

高知市では相次ぐ倒産、失業の影響で市民の生活状況が年々悪化している中で、就学援助の受給者数・率は年々右肩上がりで増加しており、公立中学校のデータでは2006年度は受給者の割合は33・1%と、3人に1人が援助を受けるなど「貧困化」の広がりが顕著に現れています。

準要保護

岡崎市長が言及した「見直し」とは、受給資格者の所得基準を現行の準要保護1・3倍(生活保護基準の)から1・1倍〜1・2倍への切り下げという中身になる可能性が濃厚です。

この準要保護の水準をどうするかが、自治体のポリシーが問われるところで、「全国的には1・5倍から1・0倍まで様々。1・3倍というのは中核市では平均的な水準」(市教委学事課)ですが、2005年から国が就学援助の補助金を廃止し、一般財源化したために、財政サイドからは切り下げへの圧力が強まっています。一方で教育委員会は「義務教育を守るなくてはならない制度」と切り下げに反発しています。

岡崎市長は見直しの理由に、財政困難ともに、「3人に1人が受給しているような現状が特別措置と言えるのか」ということをあげています。

たとえ財政に困難があっても、子どもの教育に直接影響し、カットすればまともに、子どもにしわ寄せがいくような予算に手を付けるべきではありません。まずは不要不急な無駄なハコ物を改めて最小限の改修で済ませ、継続することで新たな偏見を生みだしている無駄の最たるものである同和行政を完全終結させるなど、先に手をつけるべきところはまだまだあります。また受給者が増えているということは、それだけ市民の生活が苦しくなっていることの証左であり、義務教育の無償を支える砦としての制度を、このような時だからこそ、断固として堅持すべきではないでしょうか。

就学援助を受けている30代の母親の話 うちには4人の子どもがおり、給食費や修学旅行の費用を援助してもらえて本当に助かった。ありがたかった。この制度がなかったらは子育てはできなかったかもしれない。水準を下げるのは絶対にやめてほしい。(2007年11月25日高知民報)