2007年11月18日

追手前小統廃合は大丸移転のためだった? 高知市が中心街区再開発の試案公表 高知大学部はどこへ
高知市が示している試案。追手前小の土地を商業施設に提供する一方で、高知大の学部移転は消えている
高知市政の大きな問題になっている中心市街地再開発問題で、高知市は追手前小学校の跡地の利用について具体的なプランを「試案」として示しています。「試案」では追手前小学校跡地を大型商業施設の用地に提供する一方、高知大学の学部移転を前提にしておらず、高知大丸の撤退をくい止めるために移転用地を提供するという再開発の「本音」があからさまに示されたものになっています。

「試案」には「高知市中心商業地区再生の方向性」とのタイトルが付けられ、10月26日に開かれた高知市議会都市再生特別委員会の勉強会、11月7日の中心市街地活性化基本計画検討委員会で明らかにされました。

本命は大丸

この試案の対象となっている拠点街区とは、追手前小学校、ダイエーショッパーズ跡地、個人商店を加えた帯屋町2丁目と追手筋2丁目のブロック。

目立つのは、@大型商業施設のために追手前小の土地を3分の1ほど提供していること、A当初言われていた高知大学の教養学部の移転というような大規模な「都市キャンパス」構想は消え、部分的なサテライト・キャンパス的な施設の誘致が前提にされていること。執行部は10月28日の勉強会で、「高知大丸」の名前も出し、移転用地として想定しているとことを隠そうとしていません。

以前から市議会周辺では「高知大学は当て馬。本命は大丸」、「追手前小を廃止するのに、さすがに大丸のためとは言えない。口実に高知大学を使う」という情報が流れていました。

5月25日の「高知新聞」の「スクープ」で高知大学の「都市キャンパス構想」が大々的に示され、その後も「学部移転のための予算が概算要求された」と、あたかも学部の移転が既成事実化したような雰囲気作りが行われ、追手前小統廃合の議論は、移転後に高知大学がくることが半ば前提とされていました(その結果、追手前小は、実質的に6年後に廃止される方向性が出された)。

しかし、蓋をあけてみれば「都市キャンパス」は消え、大丸を建て替えるためにはダイエーショッパーズの跡地だけでは狭すぎるので、追手前小を「追い出し」土地を捻出するという狙いが見え透くものになっています。

「2013年のイメージ」

高知市中心市街地活性化推進事務所の小川芳廣副参事は試案について「岡崎市長がこれまで発言している学術と文化振興、産学官の連携、情報発信をテーマとする施設を作るというイメージをまとめたもの。地権者の了解を得ているものでもなく、あくまでも試みの案」と強調しますが、追手前小の統廃合が正式に決まっていない段階で、廃止を既成事実化した図面を市が出し、議論を一方的にすすめていくのは、あまりにも無神経で乱暴なやり方といえます。その他、小川副参事とのやりとり。

−−商業施設用地となる追手前小の土地は貸すのか。
小川 売るということもある。

−−「中活法」は想定しているのか。
小川 していない。別のルートでも国の補助を入れることはできる。

−−高知大学の学部がないが。
小川 市長は産学交流のためのセンターということを言ってきている。

−−案を出すにしても早すぎではないか。
小川 案では容積率500%を前提にしているが、追手前小の部分は第1種住居地域なので、用途地域を変更しないと容積率が足りず図書館は建てることができないなど、あくまでも2013年のイメージでしかない。(2007年11月18日高知民報)