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高知大朝倉キャンパス移転反対を訴えた質問には傍聴席が満員になった(9月14日) |
岡崎誠也・高知市長は中心市街地活性化策として追手前小学校を統廃合し、その跡地に商業施設と高知大学、県立図書館・市民図書館を複合した施設の建設をめざす動きを強めていますが、あまりに拙速で「前のめり」な姿勢に市政与党議員の中からも批判の声があがっています。9月14日の高知市議会本会議では、自民党議員が市長の大学移転構想を厳しく批判する質問が飛び出しました。
岡崎市長のプランは、6年後に追手前小を新堀小へ統合した上で、その跡地に「学術と文化振興、産学官の連携、情報発信をテーマとする施設を作る」というもの。具体的には「高知大学、県市合築図書館、大丸」の複合施設を念頭に置いていることを明らかにしています。
9月14日の高知市議会本会議で、岡崎市長の朝倉地区から中心街への高知大移転構想を厳しく批判したのが市長与党・自民党の土居央市議でした。
土居市議は「同じ市内で大学を移転して、トータルな高知市のすう勢がどう変わるのか。移転による中心街へのメリットばかり強調されているが、移転される側のマイナス面を説明すべきだ。一地域のために一地域を犠牲にする構想はすすめるべきではない。大学が中心市街地活性化に必要ならなぜ女子大の永国寺キャンパス移転に本気で反対しないのか。一貫性を欠き矛盾している」と市長を鋭く追及。「無責任」、「後は野となれ山となれでは困る」などと厳しい言葉を用いながら「衰退しているのは中心市街地だけではない。周辺部ははるかに衰退している。生活の糧を奪い、とどめを刺すかのという住民がたくさんいることをはっきり言っておく」と指摘しました。
岡崎市長の答弁は、「大学がどのような機能を移転するのかはまだ決まっていない」という程度のかわす答弁にとどまりました。
自民党議員が高知大朝倉キャンパス移転反対の立場をとっているのは、地域住民でつくる「歴史と文教の里『朝倉』を守る会」が1万人の移転反対署名を集めるなど活発な運動を展開していることが背景にありますが、市長与党である自民党議員からでさえ公然と批判が出るようでは構想の先行きは思いやられ、今後の市政運営に影響を与えることは必至です。
同時に「自民みらいの会」には移転推進派議員も抱えており一枚岩ではありません。また保守系会派の「新風クラブ」は岡崎市長の「活性化策」を支持し推進する立場ですが、大丸の移転場所を巡って、強い反対意見をを持つ古参議員もいるなど足並みがそろっているわけではないなど、11月の市長選を前に、岡崎与党内での足並みの乱れが表面化しています。
このことは岡崎市長が「中心街活性化」を選挙の目玉公約にしようと、政治に学校教育を従属させて強引に追手前小学校の統廃合を打ち出したこと、長く高知大学と共存してきた朝倉地域に配慮することなく、闇雲に高知大移転を進めようとしている拙速な姿勢に原因があります。(2007年9月23日 高知民報) |