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6月13日の高知市議会経済文教委員会 |
高知市の中心商店街「活性化」策として、統合後の跡地を高知大学の移転計画用地として利用する議論が起きている追手前小学校の問題について6月13日、高知市議会経済文教常任委員会で審議が行われ、委員から商店街振興と結びつけた拙速な統合を戒める意見が多く出るなか、中澤はま子委員(新風)、上田貢太郎委員(自民みらい会)は「高知市全体のために」早期統合を促す発言をしました。
この日の委員会では吉川明男・市教育委員会がこれまでの同校をめぐる経過を報告。市教委がすすめる同校の特認校の見直しと統廃合の議論は、あくまでも教育効果と教育環境の観点であること、校区外の児童が7割に達していることによる課題が生じていることを強調する一方で、教育長は「もし統合ということになっても、在校生全員がこの学校を卒業してもらうのが信義。信義がなくなれば教育は成り立たない。腹を据えて頑張る」と仮に統合する場合でも、向こう6年間は現地に学校を存続させる意向を示しました。
教育長のこの答弁には新風クラブ、自民みらい会の2保守系会派が敏感に反応。中澤はま子委員(新風)は、同校の統廃合に対する市民の反対の声の少なさを強調した上で、「高知市全体のことを考えて大局的な判断を」、上田貢太郎委員(自民)は自らが高知大学長と接触していることを紹介し「一番大事なのは産業振興。全体のことを考えて前向きに考えるべき」と、向こう6年間は移転しないという教育長の判断の変更を求めました。
委員会を傍聴していた同校PTA役員は「商店街と小学校が共存できる方向を考えるために気をつかって運動をしている。反対が大したことないようなことを言った委員がいたのは非常に残念。商店街のため学校に早く出ていけというのはおかしい」と話していました。
6月13日経済文教委員会での各委員の発言要旨(敬称略)
岡崎邦子(市民クラブ) 新聞報道では統廃合と大学移転が既定事実と受け取る。混乱をまねいた。取材にはもっと慎重に応じるべき。中心街活性化と学校統廃合がセットで動いているように感じる。在校生がいる間は統廃合すべきでないという教育長の言葉は大事にしてもらいたいが、親のニーズが「私立化、附属化」している面もあり、特認校の本当のニーズがどこにあるのかが見直しの中で問われている。
浜田拓(市民クラブ) 今の特認校の現状は学区制の否定につながるので再検討の必要はある。
山根堂宏(公明党) 教育長は「統廃合を最終的に決定するのは市長と議会だと言った」と報じられているが、首を傾げたくなる。保護者に在校生がいる間の統廃合は避けたいと言ったということは6年間は統廃合はないということか。
吉川教育長 教委としては向こう6年間、在校生への影響はあってはならない。信義を守らないと学校教育は成立しない。踏ん張りどころだ。ここだけは譲れない。
山根 これから市長と議論があると思うが、児童が安心して勉強できる教育環境のために、教育長のリーダーシップで「ここだけは譲れない」と発言してほしい。責任を市長に委ねていては「防波堤になってほしい」という保護者の気持ちに応えることはできない。
江口善子(共産) 校区外から生徒を募集すれば市教委が言う課題は、はじめから分かっていたことではないか。
中澤はま子(新風) 教育長から6年間は統合しないとの答弁があったが、時代は変わっている。状況に応じて変化していくべき。市長から見直しの強い要請があると思うが、もう少し大局的な見方も必要ではないか。利害をともなう保護者の意見もあるだろうが、高知市全体を考えた時に(早期移転が)必要だという意見も随分ある。過去の統廃合問題の時は相当な反対があった。今回ももっと反応があってしかるべきだ。
上田貢太郎(自民) 今高知市が一番力を入れなければならないのは産業振興、雇用、観光。自分も高知大に行って学長に連携を相談したことがある。教育長は立場もあるので6年間は統合しないと言ったが、全体のことを考えて、前向きに考えてもらいたい。
特認校でPTA組織は成り立つのか。私立の小学校と勘違いしている保護者もたくさんいる。統合するなら今しかないという気持ちはあるのではないか。
吉川教育長 周辺の状況からどうすべきかを早急に結論を出さなければならない時期にきていると認識している。
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