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文化学部の永国寺キャンパス存続を求めて討論した集会(6月2日、高知女子大永国寺校舎) |
県立高知女子大学文化学部の1年生を中心にして同学部の池キャンパスへの移転に反対する声が強く起きていることから6月2日、「永国寺キャンパス発展のための討論集会」が同大永国寺キャンパス講義棟で開かれ、学生ら50人が参加しました。主催は「永国寺キャンパスを守る学生の会」(戸田敦子代表)、「高知短大問題を考える学生の会」。
集会では、受験や入学時に学生にキャンパス移転についての情報が全く与えられず5月になってから初めてキャンパス移転計画を知らされた学生から「永国寺にキャンパスがあるからこの大学を選んだ。話が違う」という強い反発の声が出され、6月県議会、9月県議会にむけて永国寺キャンパス存続を求める陳情署名を集めることが確認されました。
文化学部の池キャンパス移転については昨年9月県議会で関連予算が可決(日本共産党と緑心会は看護学部関係以外の予算の減額修正を提案)しており、移転にむけた事業はすでに実質的にスタートしていますが、学生への正規の説明は今年5月まで行われず「正しい情報が学生にほとんど入らず、噂が飛び交っているだけ(文化学部4回生)」という状態になっていました。「分離キャンパスの解決と池地区へのキャンパス統合」という方向性は青山英康・前学長時代に策定した「高知女子大中長期計画」でもうたわれているものであり、キャンパス移転について学内での議論をせず、学生に正確な情報を公開してこなかった大学の責任は重大です。
■あいまいな「計画」
文化学部の移転問題を複雑化させているのは、昨年9月議会で移転関連予算を可決した際に、文化学部移転を含む「県立大学改革基本計画」について、県議会が承認せず棚上げにするという意思表明をしたことがあります(主な理由は法務総合学部についての県と青山学長との合意ができていないこと。緊急性のある看護学部充実のための予算と、キャンパス移転が抱き合わせになった予算だった)。
本来「計画は承認しないけれど予算は通す」というのは不自然。「計画」が認められないのであれば関連予算の執行も凍結すべきものでした。出発点となる予算に、あいまいさがあったこともあり、キャンパス移転についての情報は錯綜し混乱。その後、県と大学の意思疎通がとれない状態を生み出して結局は学生に「ツケ」を押しつけることになっています。
■学生の不利益回避を
現在の状況は「計画」のうち県と大学と「合意」ができている池キャンパス移転の部分について先行的に進めるという分かりにくい状態。「計画」では2009年4月から文化学部を池キャンパスに移転統合することになっていることから、現在の1・2年生は転居や遠距離通学などの重大な影響を受けることになります。県と大学の最低限の責任として、現在の学生が不利益を被ることがないようしっかりした対策を講じることが強く求められます。
また永国寺キャンパスは、社会人教育の場としての活用、新たに県が作るとしている4年制の社会科学系学部、新たな県立図書館などの有力な選択肢になりうる土地であり、それらと文化学部を併設させることは検討に値するものです。
大学の都心回帰現象や中心商店街のにぎわいを考えても、現在の「計画」をごり押しするのではなく、9月議会にむけて県と大学が打ち出す「基本計画」の確定にむけ、柔軟な対応をすべき時ではないでしょうか。 |