2007年5月27日

「憲法9条守れ」が7割強 高知大生106人に面接調査 イラク戦争世代「武力行使」に懐疑的
  高知大生意識調査 「憲法9条改定は必要か?」(106人全体)

  男性の回答(40人)
女性の回答(65人)
5月16日、高知民報社が、高知大学生を対象に実施した憲法9条に関する意識調査で、73%の学生が「9条を変える必要なない」と回答しました(グラフ参照)。

調査方法は、高知大学朝倉キャンパスの学生に面接方式で「9条改定は必要と思うか」を質問。106人(男性40人、女性65人、性別未記入1人)から回答を得て、「改定が必要」が26人、「必要ない」が78人(どちらでもないが2人)でした。

解説 今回の意識調査は「憲法9条改定イエスかノーか」だけを問うシンプルなものでしたが、106人の回答者の7割以上が「憲法9条を守るべき」と回答。高知大生に9条を変えることに強い抵抗感があることが実証されました。

調査の方法は同大朝倉キャンパスの学生食堂付近で休憩中の学生にまんべんなく面談してアンケートを依頼。回答を断る学生はほとんどいなかったことから、回答には学生の意識動向がほぼ正確に反映しているものと考えられます。

改定反対の理由は「アメリカにふりまわさている」、「戦後60年平和にきているのににわか仕込みで軍事国家になる必要はない」、「武力で問題解決はできない」、「理想かもしれないが話し合いで解決できる世の中であってほしい」などの記述が列記されており、若い世代の右傾化、「ネットウヨ」化が叫ばれ、「憲法は古くなった」というキャンペーンの中で思春期を過ごした学生たちですが、「9条を守るべき」という強い願いを持っていることが分かりました。

学生達の成長過程に強い影響を与えているのがインターネットのブロードバンド化とイラク戦争(2003年3月20日、米英軍がバクダッド空爆開始)。イラク戦争の泥沼化と犠牲者増大など戦地のリアルな情報に触れる機会がかつてなく増え、軍事力で一時的に鎮圧することはできても真の解決にはならないこと、戦争では常に弱者が犠牲になるという戦争の現実を目の当たりにしたことが学生たちの意識動向に強い影響を与えていることが伺えます。

顕著な特徴としてあげられるのは男女の意識の違いで、女子学生の圧倒的多数は9条護持派でしたが、男子学生は護持が上回ったものの賛否は拮抗していました。改憲賛成の学生があげた理由には「古くなった」、「北朝鮮から攻撃される」などが目立ちましたが、「対米従属を断るために押しつけ憲法を変える必要がある」など、アメリカ下請けの軍隊を持ち戦争ができる国をつくろうとしている改憲策動の実態とは矛盾する回答もありました。

意識調査の結果からは、学生の多くが9条を守りたいという強い願いを持っていることと同時に、改憲賛成の学生でも対話討論次第では、護憲派に転ずる可能性が充分あることが感じられました。 (N)