5月16日に開かれた高知市議会議会議会運営委員会の席上、中澤はま子委員長(新風クラブ)が次期6月定例会では代表質問を行わないことを日本共産党が強く反対する中で強引に押し切りました。議員活動の根幹にかかわる質問権の放棄を委員長が「議会改革」と称し、独断で押し切ったことは民主的な議会運営にとっての自殺行為であり、議員の任務放棄につながる重大問題です。
これまで市議会議員選挙直後の6月定例会では、会派を代表して行う代表質問(60分)を実施してきましたが、この日の議運では市民クラブの浜辺影一委員が、@3月議会ですでに代表質問はやっている、A会派の枠組みが改選前と大きく変わっていない、B市長が変わったわけでもない、C新人議員が多く個人質問(30分)の回数を増やす必要がある、ということを理由に次回6月定例会での代表質問は必要ないと主張。これに新風クラブ、公明党、自民党が同調しました。
日本共産党の下元博司議員は「これまでどおり代表質問をするべき。『議会改革』の目的は市民の声を市政にいかに反映するかであり、議員の質問権はより保障していくべきで、『改革』に逆行している。認められない」と反対しました。
中澤委員長は「議運で採決はしたくない。共産党には考えを変えてもらいたい」と態度変更を繰り返し求めましたが、日本共産党の下元委員、迫哲郎委員は「根本的な問題であり、認められない」と拒否。中澤委員長が「私の判断で食い切る」と審議を打ち切り6月定例会では代表質問をしないことを強引に決定しました。迫委員は「全会一致でもなく、採決でもない一方的な決定は認められない。悪しき前例だ」と中澤委員長の非民主的な委員会運営に抗議しました。
■「簡素化」
会派を代表して行う代表質問は、毎議会ごとにやるのが当然であり、高知市議会も以前は毎回実施していました。しかし現在の代表質問は3月定例会だけにまで短縮され、例外的措置として、市議選直後の6月定例会、市長選直後の12月定例会だけは代表質問が行われてきました。
今回は、ここまで縮小されている代表質問を、さらに減らそうというものであり、議員の質問権という重要問題を、新人議員を全員登壇させなければならないというような会派の都合で放棄することは許されません。浜辺委員があげた理由は、代表質問を放棄する理由にはまったくならないものです。
今回の代表質問放棄の背景には、岡崎市政与党の新風クラブ(保守系)、市民クラブ(社民、民主、自治労、解同系)、公明党、自民みらい会(自民党)らが、執行部に対して質問するべきものを持っていないこと、かつ日本共産党にはなるべく質問をさせないのでなるだけ「簡素化」しようという流れがあります。
高松市議会、徳島市議会は毎定例会で代表質問を実施、松山市議会は3月と9月に代表質問を行っていることを見ても、高知市議会の「簡素化」は際だっています。議会の最も重要な役割は執行部のチェックであり、その根幹は議員の質問。代表質問の放棄を強行した議員と会派の行為は有権者の負託を裏切るものです。
※議運委の委員(敬称略) 委員長・中澤はま子(新風クラブ)、副委員長・浜辺影一(市民クラブ)、水口晴雄(新風クラブ)、田鍋剛(市民クラブ)、迫哲郎(日本共産党)、下元博司(日本共産党)、高木妙(公明党)、寺内憲資(公明党)、土居ひさし(自民党)
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