2007年4月22日

高知市に「同和・人権啓発課」発足 「同和」先行は西日本中核市唯一
全国的に特異な「同和」が先行した課名
高知市は4月1日から同和対策課と人権啓発課を統合して同和・人権啓発課を発足させました。同和の特別対策を根拠づける法が切れ5年が経過した現在もなお課に同和を冠しているのは高知県で唯一というだけでなく、全国的でも少数しかない特異な存在です。単なる名称にとどまらず、高知市の同和行政への認識の時代錯誤ぶりを象徴的にあらわしています。
 全国の同和関連の課の名称はどうなっているのか。近畿以西の中核市・17市の状況を調べました(別項)。

課名に「同和」が含まれないのは12市。「解同」幹部の市職員による長期病休をめぐるスキャンダルが大問題になった奈良市でさえ「人権推進課」。

一方で「同和」が含まれるのは高知市を入れ5市ですが、東大阪市(人権同和調整課)、和歌山市(人権同和政策課)、倉敷市(人権同和啓発課)、大分市(人
高槻市 人権室
東大阪市 人権同和調整課
姫路市 人権総務課
奈良市 人権推進課
和歌山市 人権同和施策課
岡山市 人権推進室
倉敷市 人権・同和啓発課
福山市 人権推進課
下関市 人権・男女共同参
画課
高松市 人権啓発課
松山市 人権啓発課
高知市 同和・人権啓発課
長崎市 人権啓発課
熊本市 人権推進総室
大分市 人権・同和対策課
宮崎市 該当課なし
鹿児島市 人権啓発室
西日本の中核市における同和関
連課の名称(2007年4月)
権同和対策課)と、いずれも人権→同和という並びで、高知市のように同和→人権と逆転しているのは西日本の中核市では唯一。全国的に突出した異様なものです。

市長判断

平成18年度末に高知市が取り組んだ同和行政の「見直し」の中では、同和対策課と人権啓発課の統合の方向性は早くから打ち出されていました。その動機付けは「同和行政」の廃止縮小につながっていくものではなく、危機的な財政状況によって市役所全体が「人減らし」をせざるえないというプレッシャーの中で生まれたものでした。統合により課長と補佐の数は減りましたが、事業については大きな見直しはないどころか、児童館など部分的には逆に増強されている分野まであることから(児童館・こども会は市教委へ)、課員の人数は実質的に大きな変化はありません。

新しい「同和・人権啓発課」という課名については、正式に決定するまでに様々な議論がありましたが、「最終的に市長が判断した」(同課)。決定される過程では「人権同和対策課」、「人権啓発・同和対策課」など人権→同和という方向が有力でしたが、最終的には岡崎誠也市長の判断で「同和・人権啓発課」に決まりました。

不可解な「同和」突出

「同和」使用、同和→人権という順序は全国でも有数の特異さですが、それだけにとどまらず、用語の意味自体が大きな矛盾をはらんでいます。

高知市の人権問題への基本認識は、人権課題を、同和、女性、児童、高齢者、障害者、外国人、HIV感染患者の7つに類型化し、「同和」もその一分野というのが公式見解。課題を矮小化することは問題ですが、「同和だけが特別ではない、人権に上下はない」と言わざるを得ません。にもかかわらず「人権」の前に、一分野でしかない「同和」を冠するのは、一体何を意味するのでしょうか。

市民の一部に残る偏見は、「解同」の暴力的な糾弾や、行政による「同和」を理由にした不公正な「逆差別」により生み出されているものが大半で、「同和行政」を完全終結することこそが解決の早道。他の人権より「同和」を上に置き、優先するかのような「同和・人権啓発課」という名称は、問題解決へのブレーキにしかなりません。