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なぜこの時期に「新築」なのか? |
3月16日に閉会した2月県議会は、県庁舎の新築移転につながる県庁舎耐震工事関係予算執行の「凍結」付帯決議を自民、公明、県政会、新21県政会、県民クラブの賛成多数で可決しました。日本共産党と緑心会は、県民に負担を強いる厳しい財政の中で「使えるものは手を入れて使うことが大事」であるという立場から決議に反対しました。
今回問題になったのは、基礎免震構法による県庁本庁舎・議会棟の耐震改修工事の設計委託費予算916万円。
平成16年、県は県南海地震対策推進本部の早急な耐震化が必要との指摘を受けて、16年度・17年度に方針策定のための調査を専門機関に委託。その結果、県庁本庁舎は免震構法、議会棟は壁を増強する方法が最適であるという結果が得られ、新築に比べてコスト面でも大幅に有利なことから耐震化は、新築ではなく、現在の建物を使う構法による耐震改修設計委託費を19年度予算に計上していたものです。
このように県庁の耐震改修は免震構法により実施することは既定の路線であり唐突な「凍結」に「新築ありきではないか」と指摘する声が出ています。
■改修と新築の経費
県は新築と耐震改修のコストについて以下のような試算を示しています。
耐震改修 交付税措置約20億円を差し引いて実負担額は約32億円。
別敷地に新築 実負担額が約174億円。
西庁舎、北庁舎は耐震改修の必要はなく引き続き使用できることから、現在の本庁舎の建物を改修することで一体的な使用が可能ですが、移転した場合には、西・北庁舎も合わせた見直しが必要となることもあり、さらにコストがかかることが予想されます。
「決議」の提案理由説明には自民党の武石利彦議員が登壇。「新築の場合でも執行部が示した金額を下回る事例もあることから、再検討を行い結果が得られるまで予算執行を保留することを求める」という内容の発言を行いました。
■背景に自民党の要求
「決議」の背景には、一貫して自民党が土建業界の強い要望を受け、県庁舎の移転新築を求めてきたことがあります。昨年9月29日の県議会予算委員会で自民党の元木益樹議員は、県政策総研が8年に出した県庁移転案を示して実行を迫り、「たとえば高知県庁本庁舎をいわゆる今問題になっておる永国寺のキャンパス、その周辺に移していく」と具体案まで提示しています。この他にも自民県議団は県庁を新築移転する方向を執行部に繰り返し求めてきた経緯があります。
「決議」の採決にあたり田頭文吾郎議員が反対討論。「この問題は財政的裏付けも含め、長期にわたって検討され、毎年の議会での予算決定、特別委員会への報告もされていた問題であり、付帯決議は、いろいろ釈明しても庁舎の移転新築を意図したものとしか思えない。県民に負担を強いる厳しい財政のなかで、まず考えなければならないことは『使えるものは手を入れて使うこと』であり、移転の選択肢はありえない。予算を可決しておきながら、一方で方針・目的を否定するかのようなあり方は、法的拘束力がないとはいえ、議会制民主主義の基本を逸脱した執行権の侵害と言われかねない」と「決議」の問題点を指摘しました。 |