2007年3月23日

領収公開なぜできない? 政調費条例改正に自民、公明、新風ク(自民・保守系)、市民ク(民主、社民系)ら反対 公明態度豹変 高知市議会
自民、市民クラブ、公明、新風クラブ、清流クラブの反対で条例改正を否決(3月23日)
3月23日の高知市議会本会議で、全国の地方議会で不適切な使途が判明し大問題になっている政務調査費の使途を明らかにして透明度を高めるため収支報告に領収書添付を義務付ける条例改正(日本共産党の提出)が、自民・公明・市民クラブ(民主・社民系)・新風クラブ(自民・保守系)・清流クラブ(旧鏡村・土佐山村)の反対で否決されました。市民の税金から支給される政調費の使途を証明するための領収書添付という、ごく当たり前のことにあれこれ言い訳して拒否する議員の見識が問われています。

ブラックボックス

現在の高知市議会の政調費支出の決まりでは、一件5000円以上の食費、一件10万円以上の支出に限って領収書の添付が義務付けられています。言い方を変えれば、基準以下であれば、どのように使おうが領収書不要の掴み金になりうるブラックボックスと化しているのが実態です。

他県での政調費不正使用の発覚は、いずれも領収書添付が義務づけられていた議会で、市民の情報開示請求をきっかけにしたものでした。しかし、高知市議会では領収書が実質的に不要であるため、市民は使途をチェックすることすらできません。高知市の公金支出でこのようないいかげんなやり方が許されている例はありません。今回の条例改正は、他議会にも劣る高知市議会の公金支出の透明度を、他議会並の常識的なものにするための最小限の提起であり、全国で問題が噴出している中、先送りの許されない緊急の課題です。しかし自民、公明、市民ク、新風ク、清流クは、他の様々な課題と抱き合わせての先送り、些末なことを言い立て拒否。市民に選ばれた代表として、まじめに公金を支出するつもりがあるのか疑問を抱かざる得ないものです。

「抱き合わせ」で先送り

領収添付という当然の条例改正を、正面切って反対することは誰もできないことから出されてきたのが@歳費や定数など「議会改革」と抱き合わせての議論の先送り、A細部をもっと議論する必要があるという拙速論でした。自民、公明、市民ク、新風ク、清流ク各派は、条例改正に反対するための苦肉の策として「議会改革の推進に関する決議案」を多数で可決しましたが、その内容は、まじめに議会の公金支出の透明度を高めていく立場とは相容れないものでした。

決議は「期間が短すぎる」ので「選挙後、諸問題を協議する機関を設置し、9月議会までには結論を見出すべく全力を傾注する」と述べているだけで、市民の多様な意見を反映するために定数がどうあるべきか、歳費のあり方など、意見が別れじっくり議論が必要な問題と、公金支出への領収添付という議論の余地がない問題とを一緒にして先送りし、何の担保にもならないあいまいなものでしかありません。ブラックボックスと化している政調費を一刻も早く、自ら襟を正そうという姿勢とはほど遠いものと言わなければなりません。

公金支出に領収を添付するのは当たり前のこと。議会が領収を添付するという立場にさえ立てばよく、運用上の問題、情報公開などについては補助・負担金の運用規則の制定権を有している市長が、条例の精神をくんで定め、判断すればよいことです。「切手のまとめ買いはどうなる」などと些末なことをあれこれ言い立て、先送りする態度は「ためにする」言い訳でしかありません。

条例改正には民主・社民で構成する市民クラブが強硬に抵抗し、同会派出身の議長は各派代表者会議の場で日本共産党に「条例案は出してもらいたくない」と明言。公明党は当初代表者会の場で、政調費の領収添付は「議会改革」とは切り離して緊急に行うべきだと主張していましたが、この日の採決では態度を豹変し、条例改正に反対しました。