2007年2月18日

郷土を原発のゴミ捨て場にするな 東洋町議会が放射性廃棄物持ち込み拒否を決議 田嶋町長辞職勧告決議も

東洋町役場
安芸郡東洋町の田嶋裕起町長が高レベル放射性廃棄物最終処分場誘致にむけての調査に応募した問題で、議会と町民の意思を無視して、独断で突っ走る田嶋町長と国の原子力行政のあり方に批判が高まっています。
 
辞職勧告決議

田嶋町長は昨年3月20日、野根漁業協同組合長とともに、原子力発電環境整備機構(NUMO)に密かに応募書を提出(住民理解がないとして受理されず)、さらに今年1月25日に住民の強い反対の中、最終処分場誘致に向けた調査への応募書を全国で初めて正式提出しました。

この事態を受けて2月9日に開かれた東洋町議会臨時議会は、町長に対する辞職勧告決議を可決。町民の6割以上の署名とともに提出された応募に反対する請願を5対4の賛成多数で採択し、議会として処分場反対の意思を明確にしました。

また、室戸市、北川村、奈半利町、田野町、徳島県側の隣接自治体で処分場に反対する議会決議が上がり、首長や議長が東洋町に反対の申し入れを次々と行っています。2月6日には橋本大二郎高知県知事と飯泉嘉門徳島県知事がNUMOと経済産業省を訪れて、地元の合意が得られていない状況での調査に反対し応募書受理の撤回を直接申し入れるなど、関係する県、周辺自治体で反対の声が強まっており、住民からは「町長をリコールするしかない」という声もあがっています。

同町甲浦地区のポンカン農家の男性は「町民の声に耳を貸さない町長の姿勢は許されない。同時に小さな町を財政的にどうにもならない状況に追い込んで、交付金で釣る国のやり方は許せない。町民の手でこれからのまちづくりの議論を起していかなければ」と話します。

途中下車?

NUMOは、2002年から処分場の候補地探しを始めていますが、これまでいくつかの自治体で誘致の動きがあったものの正式な応募はなく難航。来年度からは文献調査・概要調査段階での交付金を2億1000円から10億円に引き上げるなど「札束で頬を叩く」ような姿勢を強めています。

田嶋町長は「応募は調査だけで、処分場設置に即つながるものではない」と繰り返し、調査を受け入れ交付金を受け取っても、最終的には住民投票で処分場の誘致の是非を判断するので処分場誘致のレールから「途中下車」が可能であると強調しています。

しかし現在、町の予算規模が約20億円の東洋町が、調査を受け入れ多額の「交付金中毒」になれば、交付金依存体質から抜け出すことが困難になることは原発関係の交付金を受けている他の自治体の例を見れば明らか。また設置の意思がないにもかかわらず応募して、国民の税金を原資とする交付金のみを目的とすることは、道義的な問題もあります。

今回の田嶋町長の応募には、住民と議会の「処分場反対」の意思が明確に示されているにもかかわらず、NUMOと国は、調査に進もうという意向を示しており、予断を許さない状況です。

処分場誘致に反対する請願に賛成した原田英祐東洋町議(日本共産党推薦)の話 放射性廃棄物持ち込みに永久に反対する決議を上げた町議会の意思をNUMOと国へ直接正式に伝え、誘致を止めるため力を尽くしたい。