2007年2月11日

永国寺サテライト・キャンパス案が浮上 JR高知駅前「複合施設」は白紙撤回

高知女子大、高知短大が同居している永国寺キャンパス
県立大学・県立図書館・県民文化ホールの3施設を合体させた「複合施設」をJR高知駅前に建てる計画を橋本大二郎県知事が「白紙に戻す」と表明したことで、改めて県は各施設のこれからの方向性について考えをまとめることが急がれています。白紙に戻った「複合施設」と、県立大学の整備について考えます。

1月22日の記者会見で橋本知事は「『複合施設』を提案した時から、あくまでもバックギア付きの新しい行政プロセスだと言ってきた。県民の思いもバラバラでまとまっておらず、県議会の反対もある中で、これを押し切ってまで進める状況でないと判断した」と述べ計画を白紙撤回しました。県政トップが県民の声に耳を傾けて慎重に下した判断は評価できるものです。

社会人教育機能

「複合施設」への入居を想定していた施設の中で、県民文化ホールは現地での改修という方向が示されましたが、県立図書館については未定、新しい県立大学の社会科学系学部は、駅前構想の白紙撤回により「行き場」を失ったかたちになり、高知市池地区の現在の女子大キャンパスに統合して整備する方向が示されています。

さらにこれまで高知短大が果たしてきた社会人教育機能の存続については、現在の永国寺キャンパスを「サテライト・キャンパス」として活用することを検討すると橋本知事が会見で述べました。しかし青山英康・県立女子大学長は、現在の県立女子大に社会科学系学部を加える県立大学構想には、「女子大ブランド」を守ることに固執して強く反対していることから先行きは混迷しています。一方で青山学長は「4年制への移行」を展望している高知短大教授会の決定を尊重するとも述べていることから、県私学大学支援課は「新しい社会科学系学部の内容をどのようなものにするのかを短大教授会と話し合っているところ」としています。

また永国寺町のサテライト・キャンパスについてある県関係者は「まだ検討段階だが、社会人教育や生涯教育を担う施設として先生や生徒が常にいるようなものを考えている。単なる貸し教室のようなものではない」と話しています。これらの動きからは「永国寺キャンパスを残せ」という運動、「社会人教育は保証する」という橋本知事の議会答弁(昨年9月県議会で吉良富彦議員の質問に答えて)などが県の判断に影響を与えていることが読みとれます。
 
県立図書館との統合

さらに橋本知事は、永国寺キャンパスは県立図書館の移転先として有力な候補地であるという認識も示しており、永国寺キャンパスに社会人教育を担うサテライト・キャンパスと県立図書館を一体的に整備するというプランが現実味を帯びつつあります。

ただ社会人教育の場を4年制に移行するのではなく「短大存続」を求める声も根強くあり、また財政的な側面からみれば池キャンパスに本拠を置く学部の出先的なものより独立した大学として設置するほうが有利ではないかという指摘もあることから、新しい社会科学系学部のあり方は慎重な検討が求められますが、永国寺キャンパスに社会人教育のための大学機能を残し、県立図書館と統合させるという案は多くの県民の納得が得られやすいものといえます。