2007年1月28日
射程300メートルの射撃場が民家に隣接か 「昼夜分かたず訓練が基本」 自衛隊普通科連隊演習地 香南市香我美町
人家の裏山が演習地の予定地 香南市稗地
香南市香我美町上分に配備される陸上自衛隊第50普通科連隊の駐屯地(2010年完成予定で建設中)に隣接する山林に、実弾射撃やヘリの離着陸訓練を実施する演習場をつくる計画が進んでいます。防衛省側からは射程300メートルもの大規模な「射場」を設置する要望も出されています。
50普通科連隊には700人が所属する予定で、戦闘の中核を担う接近戦を任務とする実戦的な歩兵部隊。
演習地は、駐屯地に東側に隣接する稗地地区の山林(約95ヘクタール)が予定されており現在、測量などの調査が進められていますが、人家の裏山であり直近に畑、農業用ハウス、神社、墓があるなど市民の生活圏と隣り合わせです。
2006年3月7日に陸上自衛隊陸上幕僚監部が住民に行った説明会の資料では、演習場で実施する訓練内容として、@戦闘訓練、A小銃・機関銃の射撃、B爆破訓練、Cヘリの離着陸等を「昼夜を分かたず訓練することを基本」としています。
さらに、防衛省は、小銃(ライフル)の実弾射撃を行う射程300メートルの射場を設置する意向を示しています。予定地は、平地ではなく山の斜面であり、直線300メートルを確保するには、大きく地形を切り込む必要があり、「木を切ったり土地の形状を大きく変える開発はしないと聞いている」(香南市企画課自衛隊立地推進係)というこれまでの防衛省の説明とは矛盾しています。
また演習場は水源でもあり、実弾訓練による鉛の水質汚染、また直近に人家が存在することから夜間射撃、爆破訓練、ヘリの離着陸などが行われることになれば、住民生活に大きな影響が出ます。防衛省と香南市は訓練内容や訓練の頻度は「まだ未定」と強調しますが、700人もの部隊が日常的に戦闘訓練を行うための演習場であり、高密度の訓練が行われることは必至です。
松山駐屯地(愛媛県松山市)小野演習場の射場では、平日だけでなく日曜日も射撃訓練が行われて、隣接する児童公園で耳をつんざくような銃の発射音による騒音被害、演習地付近だけでなく遠く離れた西条市寒風山トンネル付近など県下各地で迷彩服で武装した隊員の行軍訓練が頻繁に行われています。
中尾元重・岡山県平和委員会会長の話
静かな山里に射撃や爆破音、ヘリの爆音など異質な騒音が入り込むことは大きな環境破壊。射場の基礎教練で銃の扱いを身につけた後は、野外で実戦的な訓練をする可能性が高い。今後、自衛隊と市が締結する演習場の使用協定に住民の声を反映させて、使用時間や演習内容、騒音などをきちんと盛り込んで規制させていくことが大切になる。