2007年1月23日
県議会百条委 結城・串間証人が基金協会出資「見返り」否定 「経営基盤強化のため」 11年5月「組織決定」さらにあいまいに
百条委権限を付与された県議会産経委の証人尋問(1月23日)
県が平成12年から18年度まで予算化した(18年度未執行)県漁業信用基金協会への年900万円の出資金について調査する県議会産業経済委員会(中西哲委員長、百条委権限付与)は1月23日、結城勢賢・元県水産振興課補佐、串間正章・元県水産振興課長、細木敏夫・元県基金協会理事長など7人の証人尋問を行いました。尋問では、「出資金は融資の担保にはならない。筋が違う」という基金協会側の認識が示されるなど、「出資は『解同』県連副委員長が経営していた『よこはま水産』を支援する「『闇保証』の裏支え」という「疑惑」の構図とは相容れない証言が数多く飛び出しました。
この日の尋問の最大の「目玉」は結城氏。「疑惑」の発端とされる11年当時、最も実務に精通した職員であり、これまで「疑惑」があったと唯一繰り返し発言している野村俊夫・元県海洋局次長とコンビで「よこはま水産」対策に当たってきた人物です。
結城・元水産振興課長補佐の証言ポイント
@返ってこない金ではない
結城氏は「よこはま水産」の単年度黒字の展望を持って県信漁連へ融資を要請し、基金協会へ保証を要請したと強調。野村氏は「返ってこない背任的な融資であるから見返りが必要だった」と述べているにもかかわらず、結城氏は償還不能とは考えておらず、出資金の保証への補填的な意味合いを否定。
また「見返りという言葉がいいのかどうかは別として万一の場合の基金協会の経営基盤への影響の緩和。出資の提案はしたが基金協会側の受け止めは分からない。協会の役割から総合的に判断したのではないか」と述べ、出資金が保証の条件だったという「疑惑」の構図の核心を認めませんでした。また野村氏との認識のズレについて結城氏は、「野村氏は次長に赴任して1ヶ月。資料をみただけの判断」と述べるなど野村氏の認識の不十分さを指摘しました。
A11年5月6日
結城氏は11年5月7日に基金協会へ要請に行くにあたり、河野八朗・副知事が決定したのは5月4日と思いこんでいたがどうも6日ではないかと証言。6日の副知事協議の出席者は海洋局側が野村、串間、結城氏、副知事とあと2人くらい。記憶が定かではないが島田一夫・企画振興部長と総務部長か財政課長。副知事が指を差して指示した内容は@信漁連に融資を要請、A基金協会に保証を要請、B経営基盤強化のために出資するというものでした。
結城氏は、「副知事が指を差した」とは述べるものの、決定したとされる6日の記憶は定かでないと繰り返し、指を差した時のペーパーは2〜3年後に廃棄した。出席していたとされている串間氏は「6日の協議は知らない」と証言するなど、あいまいさが目立ちました。
串間・元水産振興課長は13年2月8、9日に作成されたとされる「極秘メモ」を自ら書いたと証言したものの、最も重要な5月6日の記載がないなどのメモの矛盾や、メモを12年度予算執行を止めるために作ったと言いながら、13年度予算執行と書かれていると指摘されると「明らかに間違い。今気が付いた」と述べるなどメモ作成について信憑性にかける証言をしました。同時に結城氏が述べている5月6日の決定については「知らない」、また出資金は基金協会の基盤強化のために必要であり、「よこはま水産」のことがあってもなくても出資していたと述べ、「見返り」としての出資金であることを明確に否定しました。
細木・元基金協会理事長も「11年5月7日に(出資金について結城氏に)言われたかもしれないが覚えていない。出資金は保証の担保にはならない。筋が違う。何を言っているのかという感じ」と述べ、保証の見返りとしての出資金という「疑惑の構図」を否定しました。
1月23日の証人
結城勢賢・元県水産振興課補佐、串間正章・元県水産振興課長、細木敏夫・元県基金協会理事長、野村俊夫・元県海洋局次長、浜田利久・元県水産振興課金融班長、中澤卓史・県総務部長、浜田正博・総務部副部長