2006年11月19日

政治献金が介護保険の費用? 民主党支部への300万円を「やさしいグループ」会計から捻出か 高知市労働事業協会

やさしいグループ、民主党、「解同」市協が一体となった掲示板
社団法人・高知市労働事業協会(森田益子理事長)が昨年の総選挙時に民主党支部に300万円の政治献金をしていた問題で、同協会の決算書によると「やさしいグループ」という名で同協会が取り組んでいる介護保険事業に必要な経費として300万円を捻出した疑いが濃厚になっています。国の社会保障制度である介護保険を利用して介護保険事業とまったく無関係な政治献金に金を回しているとすれば、その非常識さに批判が高まりそうです。

高知民報が県への公文書開示請求によって入手した(同協会は県規則に定められた情報開示に応じていない)同協会が社団法人として県に提出が定められている書類の2005年7月から2006年6月までの特別会計収支決算書によると、「寄付金」という勘定で、予算額がゼロにもかかわらず300万円が支出されています。さらに正味財産増減計算書では、介護保険事業に要した費用として、人件費や車輌代とならんで寄付金300万円が計上されています。決算書の他の部分をみても、300万円もの政治献金を計上できる余地はこの介護保険事業会計以外にはないことから、政治献金を介護保険に要した費用として捻出している可能性が濃厚です。

介護保険事業の収入は、国の介護保険から支出される介護報酬と、利用者の1割負担のみ(やさしいグループは独自の互助会組織で1割負担を軽減すると宣伝しており負担の実態は不明瞭)であり、社会保障制度の一環として会計に透明性が求められるのは当然です。民主党への政治献金が、どうして介護保険事業に必要な経費にあたるのかを、同協会は市民と介護保険利用者に説明すべきではないでしょうか。

11月2日に同協会にこの決算について電話で確認をとりましたが、電話に出た男性職員は「民報には何も話してはいけないことになっている」と回答を拒否しました。

市施設に入居「やさしいグループ」

高知市労働事業協会は介護保険事業を「やさしいグループ」という名称で取り組んでいますが、街頭には民主党のポスターと一体に掲示された同グループの看板が目に付きます(連絡先は「解同」市協になっている)。

同和対策事業として市が設置した長浜第二大型作業所(長浜4393番地5、以前は縫製工場が入居していた)には、現在「やさしいグループ」が入って介護保険事業の訪問介護の拠点として使用しています。

家賃は月額17300円。市同和対策課では「作業所の事務所部分だけを3年ほど前から使ってもらっている」と言いますが、実際は駐車場として広いスペースを使ったり(借りていないはずの第一作業所も駐車場として使用している)、市の施設にもかかわらず民主党のポスターを外壁に貼らせるなど、低額な家賃で「丸投げ」しているのが実態です。

同和対策の残存事業としての「仕事保障」のため、特命随意契約で年間約3億円もの委託事業を入札なしで優先的に請けていることに加え、市施設を利用することにより生みだされた「収益」を、特定政党に献金しているとすれば由々しき問題です。

公益法人とは不特定多数の国民の利益の実現が目的。特定政治集団の利益のために活動をすることは想定されていません。どうしても政治活動をしたいのであれば、公益法人の資格を返上し、委託事業を入札で競争したうえで堂々と行えばよいことではないでしょうか。