2006年11月12日

「解同」市協に「背信行為」と迫られ「改良住宅」入居選考方法で逆行現象 高知市

10月30日夕、部落解放同盟高知市連絡協議会(森田益子議長)の対高知市交渉が行われ、会場の朝倉総合市民会館には「解同」が動員した同盟員ら約200人が詰めかけ、執行部からは岡崎誠也市長以下、部課長約60人が出席しましたが、市営改良住宅への入居者決定方法について、以前のように「選考」方式に戻すことを求める「解同」の要求と、抽選方式をとっていた市の対応とにズレが生じたことを「解同」側が「背信行為」だと執拗に問題視したことを発端に、住宅問題についての市全体の認識を「ただす」ことが交渉の中心になりました。

交渉時間は約2時間。森田議長の発言が大半を占め、昨今の「解同」への逆風に配慮してか、往時の確認糾弾闘争のような激しい追及こそ見られませんでしたが、200人を集めた「解同」の拠点に執行部が呼びつけられる交渉スタイルで対等な話し合いができるはずもなく、旧態依然とした交渉のあり方には市職員の中からも「まだこんなことをやっているのか」という批判の声があがっています(県の場合は交渉人数に制限をかけ、記録、報道への公開など県側が主体性を持っている)。

「基本的要求交渉」と題された「解同」の要求書には先日来の「住宅入居をめぐる背信行為」という記述が見られ、総務、市民生活、健康福祉、環境、商工観光、農林水産、都市整備、建設下水道、水道局、消防局、教育委員会の全部局に、「住宅入居問題」について見解を問いただしました(市は交渉に先立ち、すでに10月3日の人権施策推進本部会議で「解同」の要請に応じて抽選から市民会館と連携した選考に変えることを決定。11月2日の市住宅審議会で追認)。

今回のような大規模な対市交渉は「解同」市協によると「数年ぶり」のこと。表向きの内容自体は乏しいものでしたが、地対財特法失効から5年が経過し、市が同和行政や「解同」系団体への随意契約について見直しを表明している中での「解同」側の巻き返しを狙ったけん制と考えられます。

住宅の選考方法を「解同」の言いなりになり、現場サイドの抵抗を押し切り上層部の判断で、旧来以上に問題の多い(以前の選考方法は県や議会代表も委員になり公平性が保たれる仕組みがあったが、今回は市役所幹部だけの密室で決定が可。さらにこれまでなかった市民会館(隣保館)の意見を付すことになっている)選考方法に無理矢理ねじ曲げるという逆行現象が生じたことから、高知市の同和行政の今後と「解同」の動きについて、監視を強めることが重要になっています。