2006年9月3日

入浴サービス開始3カ月 登録者倍増のべ700人が利用 ボイラー修繕など課題も 高知市旭地区
ボランティアによる浴場の清掃
2004年末、銭湯の廃業により風呂に入ることができない「入浴難民」が生まれていることが大きな問題になった高知市旭地区で、住民の入浴する権利を保障しようと始まった運動が実り、木村会館の浴室を利用した「入浴デイサービス」(60歳以上、登録制)が始まって3カ月が経過しました。この3カ月で登録者は倍増住民から「非常に助かる」という声が寄せられる一方で、課題も浮き彫りになってきました。
 
「地域のお風呂」

入浴サービスは火木土曜日の週3日間の運営。85人(8月24日現在)が登録しており、3ヶ月間でのべ712人、1日平均17人に入浴の機会を提供しています。
 浴場の運営は、「旭に公衆浴場を存続させる会(山本正博代表)」が高知市から委託を受けて実施。受付、ボイラー管理、浴室の掃除など約20人のボランティアによる手作りの運営です。

登録者数は、開始時点の42人から、8月24日現在では85人に。7月からは利用者の増加に対応するため、2時間の入浴時間を3時間に延長しました。
 旭地区で1人暮らしをする81歳の女性は「銭湯がなくなってから遠くの風呂に行っていたが、近くで風呂に入れるようになり助かっている。ここに来れば世間話もできて楽しい」。

入浴の機会を提供するだけでなく、医学生や看護学生のボランティアによる血圧・健康チェックや、順番を待つ時間の交流などを通して、「地域のお風呂」として定着しつつあります。

権利としての入浴

一方、この3カ月間の運営で多くの課題があることも見えてきました。「存続させる会」によると85人の登録者の利用の傾向は、@継続的に利用22人、A数回利用35人、B登録のみ28人。数回で利用をやめた人からは、浴室が狭いため気をつかうこと、湯の汚れが気になるなどの理由があげられています。

木村会館には2つの浴室があるにもかかわらず、ボイラーが旧式のために給湯量が足りず、現在は1つの浴室しか使用できていません。多い日には1日20人以上が入浴し、狭い浴室に集中することから、どうしても湯の汚れが目立ってしまいます。ボイラーを性能の高いものに交換して2つの浴室を使用できるようになれば、湯の入れ替え回数を増やして湯の汚れを緩和し、利用者を分散させてゆとりのある運営ができ、利用者が増えることも考えられます。

週3日に限られている運営日、ボイラーなど設備の老朽化、60歳以上だけしか利用できない年齢制限など、地域で銭湯が果たしてきた役割に変代わるにはまだまだ課題が多くあります。「会」では「誰もが当たり前に入浴できる」権利としての入浴を保障するために、ボイラーの交換など改善策を市に求めていくことにしています。