2006年8月24日

橋本知事 首相靖国参拝を痛烈批判 自民総裁選「誰が総理になっても地方に大きな違いなし」
会見する橋本知事(8月24日)
橋本大二郎県知事は8月24日、県庁内で開いた記者会見で小泉純一郎首相が8月15日に靖国神社を参拝した問題について、「総理は心の問題というが、国益に何のプラスがあるのか。こういうことはすべきでない」と批判。自民党の総裁選については「誰が総理になってもそう大きな違いはない。地方に明るい見通しはない」という認識を示しました。

会見での該当部分の発言要旨は以下の通り。

靖国参拝 総理大臣は靖国参拝をすべきではないという立場だ。参拝後の総理の会見を見たが、いくつかの疑問点を感じた。総理が上げたポイントは@憲法違反(政教一致問題)、A外国に言われて態度を変えることへの是非、BA級戦犯に参拝しているわけではなく大勢の戦争犠牲者に参っている。

@憲法の問題に関しては、ある程度整理されてきている。伊勢神宮に参拝しても追及がないのに靖国の時だけ問題になるのはおかしいというのは、ある程度は理解できる。

A外国に言われて日本の総理が、日本の施設への参拝をどうのこうのすること自体はおかしい。そこまでは総理と考え方は同じ。しかし総理という立場を考えた時、全体の国益を考えなければならない。中国や韓国の首脳・政府が、政治的なカードとして靖国問題を使うことを、日本として安易に許していいものかと思うが、その背後には日本が中国・韓国を侵略して、多くの被害を与えた歴史的事実があると認識している。そういう思いを持った中韓の国民が大勢いることを踏まえて、中韓政府も政治カードとして使っていることを考えなければいけない。日本国内にも、大きな変化は出てきているが、なお総理の靖国参拝について賛否両論に分かれている現状がある。こういう中での参拝は国内世論の分裂を世間にさらすことになり、外国に政治カードとして利用される。

こういう政治的リスクを負いながら、「心の問題」だと言って総理が靖国に参拝することに、日本の国益にどれだけのプラスがあるのかを、公人である限りは考えるべきだ。いくら「心の問題」と言っても、日本の国益にマイナスの影響を与えている。こういうことはすべきではない。

BA級戦犯に参拝しているわけではなく、戦争には行きたくないのに行かされた多くの国民にお参りをしていると言うが、戦争の加害者と被害者を十把一絡げにしていいのか。A級戦犯はある意味、戦勝国の勝手でなされたもので、問題点を指摘することはできるが、その中に日本国民から見て明らかに戦争の加害者であり多くの国民を戦地で死に至らしめた責任を負うべき人がいるのも事実であって、誰が戦争の加害者で被害者なのかということを、国として国民としてきちんと区分けしなければいけなかったのに、してこなかったため、A級戦犯云々にいつまでも振り回される。加害者と被害者を十把一絡げにして、「心の問題」だから構わないんだということは、中国・韓国を別にして日本国民としても、すべきではないと思う。こういうことから総理の靖国参拝には反対であるし、総理の会見にも大きな問題点がいくつもあると思う。

総裁選 麻生外務大臣にしろ、谷垣財務大臣にしろ、地方のことを言っているのは、「小泉改革」で大きな格差が都市と地方に起きたことに地方の不安があることを意識しての政治的配慮だろう。けれども実際に言っていることは、財務省や総務省など中央官庁の目から地方をどうしていくかという、従来の地方交付税制度でコントロールしていく中で、より地方にプラスになる政策をしようという意識がミエミエだ。分権社会の中で地方の自立を求めている知事会や地方自治体の長の思いとは大きな開きがある。安倍氏がこの点で何を言っているか、よく分からないが、地方にとってそう大きな違いがあるとは思えない。誰が総理になっても、地方に明るい見通しはない。