2006年8月6日

西部・城東・高岡中の30人学級研究指定 来年度どうなる すべての公立中の少人数クラス編成早く
研究指定により30人学級が実施されている高知市立西部中学校
現在の教育の抱える問題点が集中的に現れている県下の公立中学校で30人学級がモデル的に導入(県教委が16年から実施している研究校指定事業による)されている高知市立西部中、同城東中、土佐市立高岡中の3校では、研究指定から丸3年が経過し、全学年が30人以下のクラスとなってゆったりした人数でクラス運営がされていますが、保護者からは来年度以降も30人学級が維持されるのかという不安の声、また指定されていない40人学級のままの学校関係者からは「一部の学校だけでなく早く他校にも広げるべき」という声があがっています。

西部中学校は30人学級が導入される以前は、市内でも有数の「荒れた中学校」でした。「窓ガラスが次から次へと割られて修理が追いつかず、しかたないので鉄板を貼り付けていた」(西部中卒業生の保護者談)。 

15年度末に県教委が30人学級の研究校を募集したところ、高知市内で指定されたのが西部中と城東中でした。西部中は生徒数600人を超える県下一のマンモス校であり、かつ前述の生徒指導上の問題が頻発していることが指定の理由の大きな比重を占めていました。

16年に同中に長女を入学させたMさんは、「教室はゆったり。でも1年生の1学期は、ざわついてなかなか落ち着きませんでしたが、2年生にも30人学級が続行されていく中で、だんだんと落ち着いてきて、普通の環境で勉強できる学校になってます。1年に入学した時にちょうど30人学級になった時だったので運が良かった。校長先生が窓ガラスが割られなくなって修繕費が余ると言ってました(笑)」

もちろん西部中が「生まれ変わった」のは30人学級だけが理由ではなく、県立西高校の生徒会と協力して能茶山の交差点に生徒が地域住民と一緒に花を植えたり、生徒が公園の落書きを消す作業に参加するなど独自の努力がありました。このような取り組みが、30人学級というゆとりあるクラス編成と相まって大きな成果に結びついています。

30人学級の成果について学校長は「一人一人に目が行き届き、生徒への早期対応、個に応じた適切な指導が可能に。基礎学力の定着に非常に効果があった」と市教委に報告。高知市教委も30人学級の成果について「教育効果は大変高い、以前の学校環境との違いを実感する」と評価し、すべての中学校での実施を県教委を求めています。

30人学級を全校に
 
来年度以降も研究指定校が継続されるのか、また研究の成果を生かして30人学級を全校に広げていくのかということが今後の重要なポイントになります。

県教委事務局人事班は「現時点では存続するかどうかは未定。学校の声をよく聞いて考えていく」と述べ、廃止とも存続とも現時点では明らかにしていませんが、高い効果が実証され、すでに完全に定着している3校の研究指定校を今から40人学級に戻すなどということは、県教委の選択肢としては、考えにくいのが実際です。
 一方で指定を延長した場合は、指定されていない学校の保護者から「なぜ一部の学校だけ30人学級なのか。同じ市立中学であからさまに差があるのはおかしい」という当然の声が強まることは確実であり、すべての中学校に30人学級を広げていく決断が急がれています。
 西部中保護者のMさんは「西部中PTAでも30人学級存続への動きを初めています。西部中だけでなくもっと他の中学校にも広げてもらいたい」と話していました。