2006年8月6日

高知市議会副議長が違法倉庫を撤去 議会質問で圧力 公明党市議団ぐるみの疑いも 
7月30日号で報じた公明党所属の高知市副議長A氏が、高知市宗安寺の土地に「農業振興地域の整備に関わる法律(農振法)」の手続きを申請しておきながら、法に定められた手続きを完全に無視して倉庫を建てた問題は急転直下、副議長側が倉庫を壊し、申請を取り下げることで一応の決着を見ました。しかし「壊せば済み」では終わらすことができない重要な問題点を一連の経過は示しています(時系列の経過)。8月1日、A氏は副議長の辞表を提出しました。

議場で自らに有利になるよう圧力

A市議が倉庫を建てようと画策している時期とぴったり併行して、A市議と公明党は市議会の場で、倉庫が早く建つよう露骨な質問を再三してプレッシャーをかけています。

今年3月10日の3月市議会本会議の代表質問に立ったA市議は、市街化調整区域の線引の見直しを要求。この時は調整区域であることを理由に市開発指導課に倉庫の工事の中止を指導されていた真っ最中。質問では「調整区域には倉庫を置くこともできません」と明らかに当該の事例を想定しています。

決定的だったのは5月23日の建設常任委員会。当時建設委員だったA市議は「宗安寺の倉庫」と自らはっきり明示し、「土木委員の反対で倉庫が建たない。弱い物イジメだ」と、A市議の申請を@農業用とは思われない、A排水に不安があるという理由で反対意見を持っていた土木委員を委員会質疑で攻撃しました。

さらに6月20日の6月市議会本会議ではA議員と同じ会派「公明党」の市議が、第3問まで執拗に「土木委員は金品を動かさないと判を押さない」、「土木委員制度をやめよ」と執行部に迫りました(「金品」については後に撤回)。

A市議の私事を有利に運ぶために、立場を利用して会派ぐるみで、執行部や意に添わない土木委員に圧力をかけたとすれば重大であり、副議長辞任だけでは済まされません。
            
              
市議の違法倉庫をめぐる経過
17年12月 宗安寺の現地に、第三者の名義で倉庫を建て始め、市開発指導課が、現地が市街化調整区域であることから農業者でなければ建築はできないと指導して工事がストップ
18年3月10日 A市議が本会議質問で市街化調整区域の線引き見直しを要求
4月 A市議と家族の連名で再度倉庫を建てるために、農業振興地の用途変更の手続きの準備に入る
5月 A市議の妻が宗安寺の土木委員に対し、早く意見書を出すよう執拗に働きかけ。土木委員は地元自治会の総会にはかって住民の意見を聞くため少し待ってほしいと対応
5月23日 A市議が市議会建設委員会で「土木委員の反対で倉庫が建たない」と発言
5月24日 土木委員から意見書が提出される
5月29日 A市議が正式に農業振興地の用途変更の申請書を市に提出
6月15日 A市議が市議会副議長に就任
6月20日 他の公明党市議が、本会議質問で「土木委員が金品が動かないと判をつかない」と第3問まで執拗に執行部に迫る(「金品が」という発言を後に取り消し)
6月22日 市農業委員会第一審査会が申請を受けて現地調査に入ったところ既に現地に倉庫が建ち使用されていたことを確認
7月5日 市農業委員会農地部会が、申請を追認することは認められないと意思決定
7月20日 市農業水産課内が顛末書と確約書を書かせて追認する方向に傾く
7月21日 高知民報が市農業水産課に取材
7月24日 高知民報ホームページにA氏の倉庫の写真を掲載
7月26日 倉庫の解体工事始まる。市農業水産課が「7月21日付で申請が取り下げられた」と回答
8月1日 A副議長が辞任