2006年7月30日

ルール無視 高知市副議長(公明)が農振法違反し倉庫を建築使用 議会代表資格なし
A副議長の違法倉庫 農業者としての実態も疑問だ(7月22日に撮影)
高知市議会副議長(公明党)A氏が、「農業振興地域の整備に関わる法律(農振法)」、「建築基準法」の許可を得ず、法に違反して倉庫を建設して使用していることが明らかになりました。行政を監視・チェックしなければならない市議会を代表する副議長が平然と法を踏みにじっていたことに「いったい市議会はどうなっているのか」と市民から驚きの声があがっています。

問題の倉庫は、高知市宗安寺の294平方メートルの土地に建てられたもの(土地所有者の名義はA氏の家族)。現場は農業振興地域に指定されていることから、農業用倉庫を建てるには用途区分変更の許可を高知市長から受けなければなりません。

5月29日、A市議は家族との連名で、高知市農業水産課に用途区分変更申請を提出。理由は「農業者であるA市議が隣地で耕作するため農機具を置く倉庫を作る」というものでした。申請を受けて高知市は同市農業委員会に意見を求め、同農地部会第一審査会が6月22日に現地調査を行ったところ、倉庫は既に完成しており、電気も引かれて使用されている状態でした(写真参照)。倉庫周辺では、観賞魚の水槽に浮かべる水草が置かれているのが目撃されています(A市議は家族で熱帯魚販売店を営んでいる)。またA市議が耕作しているという隣接地も耕作の形跡がほとんどありませんでした。

7月5日に開かれた同農業委農地部会では同案件が審査され、地元土木委員から農業用倉庫であるというが実態が乏しいこと、排水の問題などで多くの意見が出されていることに加え、用途変更を求めておきながら許可を得る前に既に建物が建っていることに批判が集中。高知市議会副議長という最も法を遵守しなければならない人物の違法行為を追認するわけにはいかないという意見で一致し、用途変更は農業委員会としては認められないという結論に達しました。

最終的に用途変更を認めるか否かの判断は高知市長が行い、まだ結論は出されていませんが(7月21日時点)、市農業水産課は「農業委員会の意見を尊重することになるだろう」。市建築指導課では「(この倉庫の)建築確認の申請は受けているが、確認済証がまだ出ていないにもかかわらず、既に建物があるのは建築基準法6条違反になる」。

「確信犯」

今回のA市議の違法行為は、うっかりではなく「確信犯」的なものです。ここに至るまでには昨年からの経緯がありました。市開発指導課によると「昨年11月、市街化調整区域内であるにもかかわらず、農業者ではない第三者が使用するための倉庫の基礎を作っていることが現地で問題化したので、農業者の資格をとってからにするよう指導して工事を中断させた。今年4月頃、A市議から以前の話は取りやめてA氏本人が申請をするという話があった」。

今年5月23日、市議会建設常任委員会で水通町へのマンション建設反対の陳情を審議している最中に、A市議は突然宗安寺の土地問題を持ち出し、「(倉庫が)もう半年建ちませんよ。たった1人の農業委員が、土木委員が反対するために」と猛然と抗議したこともありました。

その後、A市議が農業振興地域整備計画にかかる用途変更申請を提出したのが5月29日。副議長就任が6月15日。この直後の同月22日には既に倉庫は完成していました。建ててしまえば追認するしかないだろうといわんばかりのやり方は、不適正な公金管理や特定業者への随意契約でルールを守らない執行部を厳しく批判監視してきた市議会代表の副議長としてはもちろん、議員としての資格が問われるものです。

またこの倉庫は、農業用としてではなく基礎が作られた経過があり、現在の使途が農業用ではなく、他の業務に使用するためのものであれば、申請そのものが虚偽になり、さらに問題は重大です。A市議周辺からは、用途変更手続き申請を取り下げ、倉庫を壊すという動きも出ていますが、確信犯的な違法行為の事実は消えず、その責任は免れません。