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県医師会・医師連盟が置かれている会館 |
高知市の岡崎誠也市長は市が建設を計画している「総合あんしんセンター」に、政治団体である高知県医師連盟、高知県歯科医師連盟が事務所を置くことを認める見解を表明しました。市が建設する公的施設が政治活動の拠点と使われることが果たして許されるのでしょうか。6月22日、同市議会で日本共産党の下本文雄議員の質問に答えたものです。
「総合あんしんセンター」は2010年完成予定。50億円をかけて旧高知市民病院跡地に「保健・防災拠点」として、保健所、消防局、市の防災関係部局、医師会・歯科医師会らが入る計画になっています。
公益法人である県医師会、県歯科医師会がセンターに入ることに問題はありませんが、自民党を支持する有力な政治団体である県医師連盟・県歯科医師連盟が、医師会・歯科医師会と表裏一体であることから、公的施設に政治団体の事務所が置かれるのはおかしいという疑問が提起されました。
■県医師連盟の実態
政治団体である県医師連盟の現在の住所は鷹匠町2−1−36。社団法人・県医師会と同じで、代表者も連盟・県医師会とも村山博良氏が務めています。この構図は県歯科医師連盟と同歯科医師会でもまったく同じ。実態を調べるため、県医師会を訪ねました。ビルの入り口には自民党・参議院議員の武見敬三・西島英利氏の大きな後援会の看板がかけられているのが目を引きます。1階が高知市医師会で2階が県医師会。階段の脇にも自民党のポスター。2階の県医師会のドアの横にも両参議院議員の看板がありました。
医師会と連盟の部屋は分かれているのかとの問いに坂本浩生・県医師会事務局長は「電話は分けているが、連盟の部屋が別にあるわけではない」との回答。つまり代表も住所も同じ、事務をする人間も同じで、違うのは卓上の電話だけ。まさに表裏一体です。
■区分所有
6月議会で連盟の入居問題を指摘された岡崎市長は「建物は区分所有であり、土地は賃貸だが減額措置は行わないことから不適切ではない」と入居を認めました。要するに市有地に市が建てる「あんしんセンター」の一角を、県医師会・県歯科医師会が買い取り私有物になるのだから政治活動もするのも問題ない。土地は市有地を貸すことになるが、賃料を特別に減額はしないので不適切ではないという理屈です。
しかし、そもそも国は公益法人と政治団体はしゅん別しなければならないとの見解を示しており、公益法人として公的施設の一角を入手しておきながら、同一の施設を政治団体の事務所として使うという行為が許されるのでしょうか。また公的な施設に公益法人が入るのであれば賃貸方式にするのが通常。区分所有は、連盟とのかかわりを念頭においた苦肉の策と思われますが、公的施設を半永久的に民間団体に売り渡す区分所有方式がふさわしいのか、政治活動と共有部分の利用の関係はどうなるのかなど問題もあります。
■パーティ券購入
岡崎市長は連盟とのかかわりを想定して区分所有にしたのではないかとの問いに「まったく関係ない」と否定しましたが、ある医師会関係者は「センターに入ってほしいという話が高知市からあり、連盟は大丈夫かという声に対して、区分所有にするから問題ないということだったのでこちらも合意した。もしダメなら近くにマンションの一室でも連盟の名で借りなければならないが、人を置かなければならず大変」と述べており、市の担当部局と連盟事務所の問題で実際には相当やりとりがあることを示唆しました。
16年分の政治資金報告によると、県医師連盟は16年9月14日の「岡崎誠也高知市長を励まし市政を語る会」という政治資金パーティのパーティ券を8万円分購入、県歯科医師連盟は16年10月19日に開かれた「岡崎市長を励ます会」に8万円を支出するなど岡崎市長の支持団体です。公共性が極めて高い保健・防災の拠点施設に、岡崎市長を支持する政治団体が事務所を置き政治活動をすることに、市民の納得が得られるのでしょうか。 |