2006年7月13日

依然見えぬ「闇」 野村元海洋局次長が「組織決定」の日時翻す 県議会産経委「よこはま水産」問題
産経委員会で発言する野村元海洋局次長
県が平成12年から18年度まで県信用漁業基金協会に行った年間900万円の出資が、11年5月に旧佐賀町の「よこはま水産」(村越比佐夫・部落解放同盟県連副委員長が社長)に県信用漁業協同組合連合会が実施した5000万円の融資の見返りの「闇保証」であると自民党県議団などが追及している問題で、多くの県関係者の中でただ1人「出資は融資の見返り。組織決定だった」と述べている野村俊夫・元海洋局次長(現県理事、県建設技術公社理事長)が、7月12日の県議会産業経済委員会(中西哲委員長)に参考人招致され発言しました。

野村氏のこれまでの主張の核心は、11年5月4日に副知事以下の県幹部が急きょ集まり謀議を行い、「『闇保証』として出資を組織決定した」というものでしたが、この日の発言では一転して「5月6日に(組織決定)のゴーサインが出た」と前言を翻しました。

自民党や「高知新聞」は、これまで連休中に集まった異常性を最大限強調し、中西哲委員長は5月4日の謀議に参加したとされるメンバー(河野八朗副知事、森光稔海洋局長、中澤卓史財政課補佐、浜田正博財政課補佐、小宮大一郎財政課長、池誠機同和対策長、野村俊夫海洋局次長、役職は当時)に焦点を当て事情聴取を行ってきました。

また野村氏が産経委に提出した「極秘メモ」に、河野副知事が5月4日に「組織として対応する」と述べたと書かれていることが「組織決定」の証拠としてアピールされるなど、5月4日の謀議で「組織決定した」ということが、一連の「疑惑」の大前提になっていました。

しかし、野村氏以外の関係者はこれまでの聞き取りや発言で、「4日は野村次長が当時行おうとしていた直貸し(県費を直接「よこはま水産」に投入すること)を阻止するために集まったもので、直貸しは認められないという以外に何も決まっていない」と相次いで主張。ただ1人「4日に融資の見返りとしての出資が組織決定された」と主張している野村氏の発言の信用性に疑義が生じていました。

この日の参考人招致で野村氏は、「4日に副知事が組織決定した」というこれまでの発言を撤回。「4日に一定の方向付けがなされ、6日に旧佐賀町へ出向いた後、帰ってから改めて会合を持ち、その場で河野副知事が判断した」という内容へと変更しました。しかし6日の会議を証明する文書はなく、参加していたメンバーもはっきりしません。今回の野村氏の証言変更で、「疑惑」の根本部分である「組織決定」が、いつどういう形で下されたのかという肝心なことが野村氏を持ってしても、非常にあやふやなものでしかないことが露呈しました。

矛盾点 @唯一の物証として野村氏が提出した「極秘メモ」に6日の記載がまったくない。6日に副知事が「ゴーサインを出した」のであれば、重要な場面であり書いてなければおかしい。A野村氏は6日の会合でも「小宮財政課長は知事に報告しますと言って反対した」と述べている。にもかかわらず翌日に、信漁連の事務所から、強硬に見返りとしての出資に反対していた小宮財政課長に電話で確認し、いとも簡単に了承されたというのも不自然だ。